自己誘導と相互誘導
自己誘導と相互誘導
相互誘導
コイルに磁石を近づけると、コイルに起電力が発生する。
磁石から出た磁力線がコイルを横切るからである。
これを電磁誘導という。
コイルではなく電磁石を接近させても、起電力が発生する。
電磁石から出た磁束がコイルを横切るからである。
電磁誘導を起こすコイルから見れば、相手が磁石であっても電磁石であっても本質的な違いはないのである。
コイルに電磁誘導を発生させるためには、磁石や電磁石が動いている必要がある。
電磁誘導は「磁束」によってではなく、「磁束の変化」によって起こる現象だからである。
磁束がコイルを横切らなくては、電磁誘導は起きないのだ。
磁石や電磁石を固定しておいて、代わりにコイルを動かしてもいい。
磁石、電磁石とコイルの位置関係が変化すればいいのである。
電磁石とコイルの位置関係を固定したまま、コイルに電磁誘導を起こさせる方法もある。
電磁石に流れる電流を変化させてもいい。
電流が変化すれば、生じる磁束が変化する。
この結果、磁束がコイルを横切って電磁誘導が起こるのだ。
電磁石はコイルに電流を流したものである。
つまり、一方のコイルに流れる電流が変化すると、他方のコイルに起電力が誘導させることになる。
これを相互誘導という。
また、2つのコイルに相互誘導が起こる状態であるとき、これらのコイルは電磁結合の状態にあるという。
電磁誘導の法則によると、誘導起電力は磁束の変化に比例する。
また、磁束の変化はコイルに流れる電流の変化に比例する。
ここから、誘導起電力はコイルに流れる電流の変化に比例することが分かる。
このときの比例定数を相互インダクタンスという。
相互インダクタンスはMで表す。
相互インダクタンスの単位はヘンリー[H]だ。
1秒間に1[A]の割合で電流が変化し、1[V]の誘導起電力が生じた場合、そのときの相互インダクタンスが1[H]だ。
自己誘導
コイルに流れる電流が変化すると磁束が変化する。
このコイルの近くに別のコイルがあると、電磁誘導によって磁束が変化に比例した誘導起電力が生じる。
これを相互誘導という。
相互誘導は、磁束の変化が別のコイルに影響する現象である。
磁束の変化は、別のコイルだけでなく、電流が変化した元々のコイル自体にも影響する。
コイルに流れる電流が変化すると、これに応じて変化する磁束は、源となったコイル自体を横切る。
横切ることによって、このコイルに誘導起電力が生じるのだ。
自分で自分に誘導起電力を生じるので、これを自己誘導という。
自己誘導も相互誘導と同様に、誘導起電力はコイルに流れる電流の変化に比例する。
このときの比例定数を自己インダクタンスという。
自己インダクタンスはLで表す。
自己インダクタンスの単位はヘンリー[H]だ。
1秒間に1[A]の割合で電流が変化し、1[V]の誘導起電力が生じた場合、そのときの自己インダクタンスが1[H]だ。
誘導起電力は、レンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向に生じる。
従って、コイルに流れる電流は自己誘導によって、自分自身を減じてしまうのだ。
まさに自業自得のような現象であると言える。
結合係数
コイルがあれば、そのコイルは自己インダクタンスを持つ。
コイルが二つあれば、この二つの間には相互インダクタンスが存在する。
相互インダクタンスと自己インダクタンスには関連がある。
自己インダクタンスの積のルートと相互インダクタンスは比例する。
もし磁束にモレが無ければ、比例定数は1となる。
つまり、自己インダクタンスの積のルートと相互インダクタンスは等しくなるのだ。
しかし、ほとんどの場合、磁束はモレる。
磁束がモレる場合の比例定数は1未満になる。
この比例定数を結合定数という。
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2007/12/22