原子量
原子量
原子量の定義
原子の相対的な質量を原子量(atomic weight)という。
具体的には「質量数12の炭素原子の質量を12とする」と定義し、他の原子の質量はこれと比較して相対的に質量を決めている。
理科年表などで、原子量を確認すると、炭素の原子量が12.011となっている。
これは上記の定義と矛盾するかのように見えるが、そうではない。
この原子量は、炭素という元素の中には、質量数12以外の炭素原子も存在していることを示唆している。
同じ原子番号でありながら質量数の異なる原子を同位体という。
炭素の場合、質量数11、12、13、14の四種類の同位体が存在している。
これら同位体は、同じ割合で存在しているのではない。
質量数12のものが圧倒的に多量に存在し、残りの3種はごく僅かだ。
これらの平均をとった値が12.011となっている。
モル
ものが12個集まった単位をダースという。
例えば、鉛筆12本をまとめて1ダースという。
ひとまとまりの単位が12というは、計算するときに不便なイメージを持つが、筆記用具やスポーツ用品の世界では標準的な単位として便利に使用されている。
12個の集団を1ダースと呼ぶように、化学の世界では6.02×1023個の集団を1モルと呼ぶ。
モルというと理解しにくい単位のように感じるが、一定の数量を表す言葉に過ぎない。
12個の集団 | →1ダース |
6.02×1023個の集団 | →1モル |
鉛筆1ダースといったら、それが鉛筆12本のまとまりを示すように、炭素原子1モルといったら、それは炭素原子が6.02×1023個の集団を表すことになる。
炭素原子1個の質量数は12.011である。
質量数は質量を相対的に表現しただけなので、炭素原子1個が何グラムなのか質量数からは見出せない。
炭素原子1個は、1.995×10-23gの質量である。
これが10個集まると1.995×10-23gの質量である。
さらに、100個集まると1.995×10-23gの質量となる。
このように質量数とグラム数は、ともに質量の表現方法でありながら、一見して換算が困難に思える。
そこで、炭素原子を6.02×1023個(1モル)集めると、その質量は12.011gになる。
この「12.011g」という数値は、質量数12.011に「g」をつけただけの値なのだ。
ここに1モルという集団(6.02×1023個の集団)を考えることの意味が見えてくる。
炭素原子に限らず、他の原子・分子・イオンが1モル集まれば、質量数に「g」をつけただけの質量になるのだ。
化学反応が起こるときは、原子の集団と集団が双方入り乱れて反応する。
原子を一個だけ持ってきて反応させるというような操作は、現実にはありえない。
このような原子の集団を考えるとき、モルを単位とすると検討しやすいのだ。
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2007/06/21