物理学解体新書

希土類元素

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希土類元素

元素の周期表を横に見て行くと、元素番号が1ずつ増えていくことが確認できる。
ところが、56番のBa(バリウム)の次のLn(ランタノイド)は「57番〜71番」となっており、さらに、その次のHf(ハフニウム)が72番となっている。


Ln(ランタノイド)は特定の元素ではなく、57番〜71番までの15個の元素の総称なのだ。
周期表は原則として、一つのマスに一つの元素が割り当てられている。
しかし、Ln(ランタノイド)に含まれる元素は、15個で一つのマスに同居しているのだ。


複数の元素がまとまって一つのマスに同居するケースは他にもある。
89番〜103番までの15個の元素がそれだ。
これら元素のグループをAc (アクチノイド)と総称する。


Ln(ランタノイド)や Ac (アクチノイド)に属する個々の元素については、周期表の欄外に特別にマスを設けて記述されるケースが多い。


このLn(ランタノイド)に、Sc (21:スカンジウム)とY(39:イットリウム)を加えた17個の元素を希土類元素と総称する。
周期表では左から3列目の「Ⅲa族」に属する。
同じ「Ⅲa族」でも、Ac (アクチノイド)は希土類元素に含まない。


希土類元素は互いに混ざり合って産出される上、化学的な性質が酷似しているため、単独で分離することは容易ではない。


発見当初、希少(rare)な元素と見なされたため、「希土(Rare earth)」と命名された。
しかし、希土類元素の埋蔵量は決して少ないわけではない。
希土類元素の中で最も少ないLu(71:ルテチウム)でさえ、Au(79:金)よりもクラーク数で2桁多い。


このような事情から、IUPAC(国際純正・応用化学連合)内には、Rare earth elements (希土類元素)という名称を改めようという機運もある。
なお、希土の「土(earth)」は酸化物を意味している。


希土類元素は互いに、化学的な特性が類似しており分離は難しい。
これは、元素は違っても同一の条件では同じように化学反応を起こすことを意味している。
「だったら、わざわざ手間をかけて分離しないで、混ざったままで使おうよ」という発想も出てくるだろう。


採掘された鉱石中の希土類金属をまとめて還元し、それ以上分離しない合金がミッシュメタルだ。
一般の合金は、2種以上の金属を意図的に混合する。
一方でミッシュメタルは、元から混合されている元素をあえて分離しないで使用する合金なのだ。


上記は、ミッシュメタルの発想の概略であって、現実には、まったくの成分操作なしでミッシュメタルが生産されているわけではない。

参考
(社)日本新金属協会http://www.jsnm.or.jp/

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2006/09/13



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