物理学解体新書

酸化還元反応

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酸化還元反応

酸化と還元

空気中で物質が燃えるのは物質が空気中の酸素と化合するからである。
密閉された容器のなかで燃焼させると、しばらくして燃えなくなる。
容器内の酸素がすべて消費されたため、それ以上燃焼を続けることができなくなったからである。


燃焼ように物質が酸素と化合する反応を酸化という。
酸化反応は燃焼以外にも様々であり、燃焼は酸化の一形態にすぎない。


例えば、銅や水銀を空気中で加熱すると光沢が失われ、灰状の物質に変化する。
これは金属が酸化して酸化物に変化したためだ。
2Cu + O2 → 2CuO
2Hg + O2 → 2HgO


酸化の反対の反応を還元反応という。
還元とは物質が酸素を失って元に戻る反応である。
2Cu + O2 → 2CuO
CuO + H2 → Cu + H2O


上記は水素が作用して酸素を奪う還元反応である。


この例で分かるように、酸化反応と還元反応は逆の反応である。
またこの酸化還元反応を通して、水素と酸素が逆の働きを持っていることも分かる。


水素による還元反応は非常に種類が多い。
そこで酸化還元を、「物質が水素と化合する反応を還元反応、物質が水素を失う反応を酸化反応」と拡張して解釈することも可能である。


 酸化反応還元反応
酸素の観点での定義物質が酸素と化合する反応物質が酸素を失う反応
水素の観点での定義物質が水素を失う反応物質が水素と化合する反応


酸化と還元は逆の反応であり、酸素と水素は逆の役割を持つ。
「酸素と化合すれば酸化」は覚えやすい。
「酸素→水素」「酸化→還元」のように置換すれば「水素と化合すれば還元」となるので、この表の理解はたやすい。


ここでは、酸化還元反応の定義を「酸素の観点」から「水素の観点」まで含めて拡張した。
酸化還元反応の定義は、さらに「電子の観点」も含めて拡張することができる。
この場合、物質が電子を失う反応が酸化反応、物質が電子を受け取る反応は還元反応になるのである。


マグネシウムが燃焼して酸化マグネシウムになる反応を見てみよう。
化学反応式は以下である。
2Mg + O2 → 2MgO


ところでMgOはマグネシウムイオンMg2+と酸素イオンO2-がイオン結合したものだ。
上記の反応式は、次ぎの3段階で進んでいると解釈できる。


12つのマグネシウム原子(2Mg)が合計4つの電子(4e-)を失い、2つのマグネシウムイオン(2Mg2+)になる。
2Mg → 2Mg2+ + 4e-
21つの酸素分子(O2)が合計4つの電子(4e-)を受け取り、2つの酸素イオン(2O2-)になる。
O2 + 4e- → 2O2-
32つの酸素イオン(2O2-)と2つのマグネシウムイオン(2Mg2+)がイオン結合で2つの酸化マグネシウム(2MgO)になる。
2O2- + 2Mg2+ → 2MgO


この反応でマグネシウムは酸化される過程で電子を失い、酸素自体は電子を得て還元された。
電子を失う反応が酸化反応、電子を受け取る反応が還元反応なのである。


 酸化反応還元反応
酸素の観点での定義物質が酸素と化合する反応物質が酸素を失う反応
水素の観点での定義物質が水素を失う反応物質が水素と化合する反応
電子の観点での定義物質が電子を失う反応物質が電子を受け取る反応


先ほどと同様に「酸素→電子」「酸化→還元」のように置換すれば「電子を得れば還元」となる。
酸化または還元の程度は、反応の前後での電子の数の増減で表現することができる。
この考え方が酸化数の基本になっている。


酸化と還元は、常にペアで発生する。
単独では起こらないのである。


反応の相手を酸化させる作用を持つ物質を酸化剤という。
酸化と還元は同時に起こるので、酸化剤は相手物質を酸化させると同時に自分自身は還元されるのである。
還元されやすい物質ほど、酸化剤として強力なのだ。



酸化数

酸化還元反応によって移動した電子の数を元に、酸化・還元の度合いを評価する方法がある。
これを酸化数という。
電子を失えば「+」とし、電位を得れば「−」として、移動した電子の数の増減で酸化の度合いをあらわすのだ。


酸化数は以下のルールで決定する。


単体の酸化数は常にゼロである。


単原子のイオンは、符号を含めたイオンの価数が酸化数になる。


酸素原子の酸化数は−2(過酸化物を除く)


水素原子の酸化数は+1(水素化合物を除く)


中性分子中の全原子の酸化数の合計は、ゼロになる。


基イオン中の全原子の酸化数の合計は、基イオンの価数になる。

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2007/06/21



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