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カスピ海

カスピ海は「海」と付くのに湖だ。
それも、世界最大の面積の湖なのだ。
日本の総面積の1.2倍くらいある。


カスピ海は大きいから、取り囲む国も五カ国におよぶ。
ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、イラン、アゼルバイジャンの国々だ。


最近の調査では、「第二のペルシャ湾」と言えるほどの石油がカスピ海には埋蔵されていることがわかってきた。
こうなると、周囲の5カ国は、とってもうれしい。
しかし、カスピ海の石油資源をどうやって5つに分割するかが問題になる。


普通に考えれば、カスピ海は湖なので、5カ国で共同管理すればいい。
しかし、「できるだけいい思いがしたい」と考える国も出てくる。
そこで、ロシア、アゼルバイジャン、カザフスタンが「カスピ海は海だ」と言い出した。


「海」だとすると、海洋法(国際法)が適用される。
海岸線から一定の距離を、領海として独占できるのだ。
領海内での資源採取は自由だ。
独自の判断で自由に石油を掘れるし、チョウザメも獲れる。


ところが海だとすると、イランが困る。
海岸線など、地理上の都合で領海が小さくなってしまう。
「カスピ海は湖」として共同管理したほうが取り分が多きいのだ。
イランは「海」だと認めない。


さらには、トルコのパイプライン建設や米国の石油政策もからんでいるので、「海なのか湖なのか」の論争に他国も割って入ってくる。
決着はなかなか付かない。


「カスピ海が、海か湖かでもめている」と聞けば、湖の成因を巡って地学上の論争があるのかと想像する。
そうではない。
石油の利権でもめているのだ。
まさに「第二のペルシャ湾」だ。


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以下のサイトを参考にています。
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20020327/
http://tanakanews.com/e0302oil.htm
http://www.sfc.keio.ac.jp/sfc-forum/forumnews/news60/forumnews60-2.html

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2005/10/23



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