原子炉

[マグローヒル科学技術用語大辞典]では
核分裂性物質を十分含み, 制御された自己維持核分裂連鎖反応が持続できるように配置された装置.

[物理学解体新書]では
「炉」とは火を燃やし続け、継続して熱を生成させる設備のことである。

暖炉、焜炉(コンロ)、溶鉱炉、囲炉裏(イロリ)をイメージすれば、「炉」という語の意味も明確になると思う。

「原子炉」とは、原子力を使用した炉である。
原子核の分裂を利用して、熱を生成させる設備なのだ。

しかし、原子炉の熱を利用した暖房器具や、溶鉱炉はない。
原子炉は、原子力発電でしか使用されていない「炉」なのだ。
このためか、原子炉と原子力発電はほぼ同等と解釈している人が多い。

原子力発電は原子炉で生成された熱を使用して、水を沸騰させる。このときに生成した水蒸気でタービンを動作させて発電するのである。

これから明らかなように、「原子炉」は原子力発電の一部の機能に過ぎないのだ。重要な機能ではあるのだが。

原子炉を構成する主要なパーツと機能は以下の通りだ。

パーツ	機能
燃料集合体	複数の核燃料棒から構成される。この内部で核反応を維持する。
制御棒	核分裂のスピードを調節する。
減速材	核分裂で生じた中性子のスピードを減速する。
冷却材	炉内で発生した熱を取り出す。

原子炉といっても様々な種類がある。原子炉は、減速材、冷却材、核燃料の組み合わせによって以下のように分類されている。

種類		減速材	冷却材	核燃料	例
ガス冷却炉 GCR Gas Cooled Reactor		黒鉛	炭酸ガス	天然ウラン	東海発電所(運転終了)
新型転換炉 ATR Advanced Termal Reactor		重水	軽水	MOX	ふげん
高速増殖炉 FBR Fast Breeder Reactor		なし	液体ナトリウム	MOX	もんじゅ
重水冷却炉 CANDU Canadian Deuterium Uranium Reactor		重水	重水	天然ウラン	カナダ
高温ガス炉 HTGR High Temperature Gas Cooled Reactor		黒鉛	ヘリウム	ウランとトリウム	HTTR(商用実績なし)
軽水炉	沸騰水型炉 BWR	軽水	軽水	濃縮ウラン	国内の商用原発
軽水炉	加圧水型炉 PWR	軽水	軽水	濃縮ウラン	国内の商用原発

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2005/06/01