負の仕事
負の仕事とは
正の仕事と負の仕事
物体に与えた力と、物体の移動距離の積が仕事である。
力の方向と物体の動く方向が同じなら正の仕事だが、力の方向と物体の移動する方向が逆向きだと負の仕事になる。
力と移動の方向が逆向きというのは感覚と一致しないが、ここでは仕事の正負について解説しよう。
負の仕事の例として、斜面をズルズル滑ってくる荷物を支える場面を想像してみよう。
荷物が重いので、支えきることができず押し返されて、荷物が下がってしまうとする。
このとき、支えるために物体に与えた力と、物体が動いた方向は逆だ。
だから、与えた力が物体にした仕事は負なのである。
負の仕事になる力は、動きに逆らう力、動きを止めようとする力だといえる。
一方、物体をすべらせる力は重力である。
重力の斜面方向の成分と、荷物の移動方向は同じなので、この場合の仕事は正だ。
この荷物にかかる力は、重力の斜面方向の成分と、支える力の合力である。
合力の作用で物体がズルズル滑ったのだから合力の仕事も正である。
内積から考える負の仕事
仕事はベクトルの内積である。
2つのベクトルaとbがあるとき、ベクトルaの大きさと、ベクトルbのa方向の成分の大きさの積が内積になる。
2つのベクトルの角度が90度未満であれば、内積は正になる。
角度が90度を超えていると、反対向きのベクトルとの積になるので、内積は負になるのだ。
仕事は力のベクトルと、変位ベクトル(移動ベクトル)の内積である。
負の仕事は、力のベクトルと変位ベクトルの内積が負になる場合のケースなのである。
つまり、力と変位(移動方向)が反対向きのとき、負の仕事になるのだ。
摩擦力も、負の仕事の例である。
平坦な床の上を転がる筒は、摩擦力を受けているのでいつかは止まる。
摩擦力は筒の移動する方向に逆らう向きだ。だから摩擦力負の仕事をしているのである。
■次のテーマ:エネルギー
スポンサーリンク
2016/09/26