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二十四節気

カレンダーの月(month)と天体の月(moon)は関連が深い。
月の満ち欠け一回分が、カレンダーのひと月になったからだ。
暦はもともと月(moon)の動きに基づいて組み立てられていた。
これを太陰暦という。太陰とは月(moon)を意味する。


月(moon)が満月の丁度反対にあるとき、月はまったく見えない。
これを新月という。
ここから新たなひと月(month)が始まるのだ。
新月から三日目の月が三日月だ。
満月を経て、次の新月を迎えるときにその月(month)は終わる。


太陰暦は、月の満ち欠けを根拠にしている。
そのため月の形を見れば、「今日は何日か」が分かるのが最大のメリットだ。
月の満ち欠け一回分は平均約29.5日である。
0.5日が半端であるが、ひと月の日数が「29日の月」と「30日の月」が交互にくれば端数の問題は生じない。


月の満ち欠けは、一年間に12回繰り返す。
ここから一年間は12か月になった。
「29日の月」と「30日の月」を交互に12回繰り返すと、354日になる。
365日に11日足りない。
三年累積すると33日足りなくなる。


つまり、太陰暦は三年使うと、季節が約ひと月ずれてしまうのだ。
これだと、太陰暦は農耕に使えない。
種まきや収穫の時期が見極められないからだ。
暦の精度は、食料生産に直結した死活問題そのものなのである。


このズレを解消するのが「閏月」だ。
三年ごとに「余分なひと月」を加えればいい。
まさに、「不足を潤す月」なのだ。
閏月が入るとその年に限り、一年が13か月になる。


ズレを閏月で補正する暦を「太陰太陽暦」という。
いわゆる旧暦がこれである。


こうなると「どのタイミングで閏月を加えるか」の指針が欲しい。
そこで登場するのが二十四節気(にじゅうしせっき)である。
(二十四節季と書くのは誤り)


二十四節気は、24個の「季節のチェックポイント」から構成される。
これらチェックポイントは、ほぼ15日ごとに設定されている。
365日を24で割ると約15.2日になるからだ。


チェックポイントのうちの半分を「中気」と呼ぶ。
以下の12個が中気だ。
雨水、春分、穀雨、小満、夏至、大暑、処暑、秋分、霜降、小雪、冬至、大寒


これ以外の12個のチェックポイントを「節」という。
「節」と「中気」は交互に並んでいる。


中気は、約30.4日毎に巡ってくる。
(365日÷12≒30.4日)
ひと月の日数は「29日」または「30日」なので、中気の間隔はひと月の日数よりもわずかに長い。
(1.4日〜0.4日長い)


ということは、たまたま月末に中気が来ると、翌月は中気がないことになる。
計算は省くが「中気がない月」は3年に一度発生する。
この「中気がない月」を閏月に指定するのだ。


例えば、四月の翌月に中気が無かったとする。
この場合、翌月は「五月」ではなく「閏四月」になる。
「閏四月」が明けると「五月」になる。


元々二十四節気は古代中国の黄河の流域で考案され、日本に伝わったものだ。
二十四節気が伝える季節の感覚は、生活実感と一致していない。
黄河の気候風土に合わせて作られた、暦法だからである。



日本は明治5年12月に、太陽暦(現行のカレンダー)に移行した。 二十四節気の暦としての意味は、このときから失われたことになる。
代わって季節を味わう風流としての側面が強くなった。
そこには、かつての死活問題の影は見えない。

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2005/09/24



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