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オーロラ

ローマ神話に登場する曙の女神をアウロラという。
アウロラはバラ色の指を持ち、天空の門を開くという。
この名がオーロラの語源になった。
オーロラの神秘な色と輝きを思えば、この由来に納得できる。


オーロラは太陽から飛来する荷電粒子と、地球の磁場との影響で発生する。
地球の磁場は北極・南極付近が強い。
このためオーロラは、極地特有の現象なのだ。
フィンランドやノルウェー等、オーロラの名所は、みな緯度が高い。


ところが、ニューヨークでもオーロラが見られるという。
スペースウエザーというサイトに、オーロラの写真集がある。
このページの4番目と6番目の写真の撮影地(Location)は、ニューヨーク(NY)となっている。


ニューヨークの緯度は40度。
日本ではほぼ青森県にあたる。
これくらい低い緯度でも、オーロラが出現するとは意外に思う。


現在、太陽の活動が活発な時期でもあるが、ニューヨークのオーロラは毎年のように見られるという。
一方で、青森でオーロラの話を聞かない。


地球は巨大な磁石でもある。
地球の磁石の極(S極・N極)は、北極点・南極点の近くにあるが、実際には極点からずれている。
北半球の場合、磁石の極(S極)は、アメリカ側に偏っているのだ。
(北極はS極。N極ではない。詳細は「磁石」参照)
このため、同じ緯度で比較した場合、日本よりもアメリカの方が元々オーロラが出現しやすい条件にあるのだ。


しかし、国内でも、まれにオーロラが現れる。
10年に一度程度の割合ではあるが、北海道もオーロラが見られるそうだ。
1958年(昭和33年)には、新潟にも出現したという。
極端な例もある。
1770年(明和7年:江戸時代)には、肥前(佐賀・長崎)でも「赤気が見えた」とオーロラの記録がある。


中緯度に出現するオーロラは、赤みを帯びるため、血や炎を連想させる。
ヨーロッパでは、古くからオーロラを戦争や災難の予兆と見る言い伝えもある。
実際にオーロラが現れるときは、電磁波障害が起きるので人工衛星や通信システムに障害が発生する。
だから、ヨーロッパの言い伝えも、あながち迷信とは言い切れない。


優しい女神も、怒ると怖い ということか。

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2005/10/13



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