拡散電流
拡散電流とは
コップの静止した水の中にインクを一滴たらすと、インクはコップ全体に混ざっていく。
かき混ぜなくても、時間とともにインクの粒子がコップ全体へと広がって、最終的に均一になる。
この過程が拡散だ。
完全に拡散した状態では、インクの濃度にムラはない。
水面付近もコップの底付近も、インクの濃度は同じなのだ。
ところが、拡散が始まった直後(一滴たらした直後)の濃度は均一でない。
落下地点のインクの濃度は高いが、コップの底にはインクは来ていない。
中間には濃度の比較的濃い部分と、薄い部分が連続して存在する。
このようなに、濃度が徐々に変わっていく様子が濃度勾配だ。
濃度勾配がゼロになった状態が、最終的に均一になった状態である。
拡散は濃度勾配があるときに起こる現象なのである。
粒子(この場合はインク)が、濃度の濃い部分から薄い部分に向けて、自然に移動する現象でもある。
電流と拡散電流
電流とは電荷が流れている状態のことだ。
電荷を持った粒子(キャリア)が、続々と同じ方向に移動しているときが、電流が流れている状態なのである。
豆電球に電池をつなげると電流が流れ点灯する。
電源が接続されたことにより電位差が生じたためだ。
電流は、電源があって初めて流れものということもできる。
ところが、電源がなくても電流が流れる場合がある。
拡散電流がその例だ。
拡散は半導体内のキャリアでも起こる。
キャリアの濃度ムラがあると、濃度の高い部分(キャリアが混んでいる部分)から濃度の低い部分(空いている部分)にキャリアが拡散していく。
拡散によって電荷が移動しても、これは電流だ。
拡散で生じる電流を拡散電流という。
拡散電流は濃度差によって発生し、電場の存在とは無関係だ。
拡散で移動するキャリアの量はキャリアの濃度差に比例する。
濃度差が大きいほど、たくさんの電荷が移動する。
つまり、拡散電流が多く流れるということだ。
これは「単位時間当たりに移動方向(X方向)と直交する面を通過する電子の数は、濃度の傾きに比例する」と言い換えることができる。
ここで比例定数をDeとすれば、電子の拡散による拡散電流の電流密度は以下になる。
比例定数Deを電子の拡散係数という。
正孔(ホール)についても同様の原理が成立し、Dhをホールの拡散係数とすれば以下の関係式となる。
拡散係数と移動度、絶対温度との関係を示した等式をアインシュタインの関係式という。
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2005/06/01
2010/01/09
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