物理学解体新書

ラザフォードの実験

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ラザフォードの実験とは

原子の構造

トムソンが電子を発見すると、原子の構造がどうなっているのかの究明が次の課題となった。
原子の内部から電子が飛び出してくることが予測されたが、原子の構造まではわからなかったからだ。


電子は負の電荷を持っている。ところが原子は電気的に中性だ。
ということは、原子には正の電荷を帯びた部分もあるはずである。


原子の中で、正負それぞれの電荷がどのように存在しているのかという疑問に対して、大きく2つの説が考えられた。
トムソン自身が考えたぶどうパン型モデルと長岡半太郎が考えた土星型モデルである。


パンの中にぶどうがポツポツと散らばっているぶどうパンのように、原子そのものが正の電荷を帯びており、その中に負の電荷を帯びた電子が散らばっていると考えた。
これがぶどうパン型モデルだ。


一方の土星型モデルは、原子の中で正の電荷が集中している部分あり、そこを中心として周囲を電子が回っていると考えた。
形が土星のイメージなので、土星型モデルと呼ばれている。




ラザフォードの実験

原子の構造を究明するため、ラザフォードは高速のアルファ粒子を金箔に何回も撃ち込む実験を行った。


アルファ粒子は正の電荷を帯びている。
だから原子の内部の正の電荷の影響で、アルファ粒子のコースに影響が出るはずである。


アルファ粒子はラジウムから放射される。
そして金箔の周囲には蛍光スクリーンを配置した。
これはアルファ粒子のコースを知るためである。


この実験では、大部分のアルファ粒子が金箔を直進して通過し、背後の蛍光スクリーンを発光させた。
ところが、少数のアルファ粒子が金箔を通過する際に直進せずカーブしたのである。


さらに、金箔で跳ね返されされるアルファ粒子が、極めてまれに存在した。


ラザフォードの実験の結果は、金箔を作る原子の中で正の電荷は、ごく狭い空間に集中していることを示唆している。
大部分のアルファ粒子が素通りだったのは、原子の中がスカスカだからなのだ。


一方で、正電荷が集中する場所に真正面から撃ち込まれたアルファ粒子は、クーロン力による反発で跳ね返されたのである。


もし、ぶどうパン型モデルが正しいなら、アルファ粒子のコースはこのようにならないはずだ。
ラザフォードの実験から原子模型は土星型モデルが正しいと判断されたのである。

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2016/10/30



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