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トリチェリの実験

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水銀柱760mmがなぜ大気圧なのか

トリチェリの実験では、大気圧が76センチメートルの水銀柱の重量による圧力と等しいことが示された。 ここでは、水銀柱が760mmを保つ理由を説明する。


水銀を満たしたトレイを用意する。
水銀の液面には大気圧がかかるが、その値は均等に1気圧だ。

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水銀の液面にガラス管を立てる。
ただし、ガラス管の中は完全に真空だ。
つまりガラス管の内側の大気圧はゼロである。

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ガラス管外の水銀の液面は大気圧に押されている。
一方のガラス管内の水銀の液面は、大気によって押されていない。

大気圧に押された水銀は、唯一圧力のないガラス管内に入ろうとする。
こうして、水銀がガラス管内に送り込まれ、上昇する。

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これはストローでジュースを飲むのと同じ原理だ。
口で吸引されると、ストローの内部の気圧が低くなる。
ジュースの液面には大気圧がかかっているので、大気圧に押されたジュースが圧力のないストローの中に入ってくるのだ。


水銀がガラス管内に入り液面が高くなるにつれ、水銀柱の重みが増していく。
重みが増すにつれ、水銀柱の重みがトレイ内の水銀に与える圧力も増加する。


やがて水銀柱の重みによる圧力が、大気による圧力と同じになってしまうだろう。
このときの高さが760mmなのだ。
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水銀柱が760mmを超えると、大気圧よりも大きな圧力を液面に与えることになる。
こうなると、大気圧はもう水銀をガラス管内に押し込むことができない。


もし、高さ760mmの水銀柱がなければ、そこには高さ数100キロメートルの空気柱が存在することになる。

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高さ760mmの水銀柱と、高さ数100キロメートルの空気柱の重さは同じなのだ。
水銀の液面が、高さ数100キロメートルの空気柱から受ける圧力(1気圧)は、高さ760mmの水銀柱から受ける圧力と等しいのである。

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トリチェリの実験では、水銀柱の高さが大気圧と等しくなる高さでバランスした。
これが760mmなのである。


次ページでは、水銀柱の太さ(直径)に関係なく760mmで大気圧とバランスする理由を解説する。

■次のページ:水銀柱の太さ(直径)に関係なく、なぜ760mmなのか

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2016/10/22



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