科学史の人物
キャベンディッシュ
キャベンディッシュは、水素の発見や万有引力定数の測定といった業績で知られる英国の学者だ。
この人物は、他人との接触を極度に嫌い、自分の楽しみや知的好奇心のためだけに、部屋にこもって物理や化学の研究に没頭していた。
だから、新発見をしても、発表しないことも多々あった。
キャベンディッシュの死後70年ほどして、本人直筆のノートが発見された。
そのノートを見たマックスウェルは驚愕したという。
キャベンディッシュによってノートが作成された時点では まだ未発見であったはずの法則が、そこに記述されていたからである。
クーロンの法則は、1785年から1789年にかけて、オームの法則は1826年に発見・発表されている。
ところが、クーロンやオームよりも先に、キャベンディッシュがこれらの法則を発見していたことが、このノートに記された日付よって確認されたのだった。
キャベンディッシュの没年は1810年。
だからオームの法則はキャベンディッシュの死後に再発見されたことになる。
クーロンの法則は、キャベンディッシュの存命中に発表されたが、キャベンディッシュは自分が先行していることを主張することはなかった。
今日の科学史では、クーロンの法則、オームの法則の発見は、(これらの法則名から予想できる通り)キャベンディッシュの業績とされていない。
発見を正式に発表しなかったから、発見者として認められないのだ。
しかし、キャベンディッシュは不満ではなかろう。
自らの知的好奇心のためだけに、生涯 研究に打ち込んだのだから。
ここで一つ疑問が生じる。
キャベンディッシュはどうやって生計を立てていたのかである。
彼は大貴族であった。
相続した莫大な財産から得られる利子所得によって、好きな研究だけをやって生活していたのだ。
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2005/08/20