力の伝達
力の伝わりかた
力を伝達の経路によって、分類すると次のようになる。
力の分類 | 例 |
他の物体と 接触しなくても伝わる力 仮に「遠隔力」と呼ぶ |
以下の3種類のみ。(量子や核物理を除いて) ・万有引力 ・電磁気力(クーロン力やフレミングの左手の法則で生じる力) ・慣性力 |
他の物体と 接触した場合のみ伝わる力 仮に「接触力」と呼ぶ |
「遠隔力」以外のすべての力 例えば、バネ弾性力、浮力、糸の張力、摩擦力、圧力、抗力など。 「遠隔力」以外はすべて、他の物体と接触しなければ伝わらない。 |
試験問題を解くときに、「注目する物体に力が作用する様子を図解する」ということを行う。
この作図が誤っていると正しく思考することができず、解答を誤ってしまう。
そこで、作用する力が「遠隔力」なのか「接触力」なのかをよくよく認識したうえで作図すると間違えにくい。
例えば、空中に投げられたボールに作用する力を「遠隔力」と「接触力」に分けて考えよう。
まず「接触力」だ。
空中を飛ぶボールに接触するものは、空気のみである。
だからこのボールは空気から抵抗力を受ける。
しかし、問題文に断り書きのない場合、「空気抵抗は無視する」というのが定石である。
したがって、空中を飛ぶボールに作用する「接触力」はないと判断する。
次に空中を飛ぶボールに作用する「遠隔力」を考えよう。
「遠隔力」は地球が及ぼす万有引力、つまり重力のみだ。
特に力学のテストでは、電磁気力を考慮するケースはまずありあえない。(個性の強烈な出題者は、出題するかもしれないが)
電車の中やエレベータの中ではないので慣性力も作用しない。
「遠隔力」と「接触力」をあわせて考えると、空中を飛ぶボールに作用する力は「重力のみ」ということになる。
ここでは空中を飛ぶボールを例示したが、それには理由がある。
ボールが飛んでいく方向に力がかかっていると誤認するケースがあるからである。
繰り返すが、空中を飛ぶボールにかかる力は重力のみだ。
それ以外に力が作用しないから、空中を飛ぶボールの水平方向の運動は等速直線運動となるのである。
飛んでいく方向の力など、存在しない力を誤認しないためにも「遠隔力」と「接触力」に分けて考えるようにしよう。
そして「遠隔力」は、3種類しかないと覚えておこう。
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2006/01/10