原子核崩壊
放射線
電磁波又は粒子線(高速な粒子)のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつものがある。
これらを放射線と呼ぶ。
放射線にはいくつかの種類があるが、実体や発生機構は異なる。
区分 | 名称 | 実体 | 発生機構 | 透過力 | |
粒子線 | α線 | ヘリウムの原子核 | α崩壊に伴い、原子核から放射される | 極めて弱い 紙1枚で遮断できる |
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β線 | β-線 | 電子 | β崩壊に伴い、原子核から放射される | 弱い アルミ箔等の薄い金属で遮断できる |
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β+線 | 陽電子 | ||||
中性子線 | 中性子 | 原子核反応に伴い、原子核から放射される | 極めて強い 鉛や鉄も貫通するが、水で遮断できる |
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電磁波 | X線 | 波長域10-12〜10-8[m]の電磁波 | 高速の電子が金属に衝突し放射される | 強い 遮断には厚いコンクリートや鉛が必要 |
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γ線 | 波長域10-12[m]以下の電磁波 | 原子核反応に伴って原子核から放射される | 極めて強い 遮断には厚いコンクリートや鉛が必要 |
ウランやラジウム等の原子は放射線を継続して出していることが確認されている。
この放射線を継続して出す能力を「放射能」という。
報道などでは「放射能が漏れた」等の表現を用いているが、これは誤用だ。
放射能は能力なので、能力が漏れるとは本来意味を成さない表現である。
「放射能を持つ物質が漏れた」と表現するのが正しい。
なお、すべての原子が放射能を持つのではない。
不安定な原子核が、放射線を出すのだ。
上表で示したように放射線にはいくつかある。
その中で不安定な原子核から自然に出る放射線には以下の3種類がある。
放射線の名称 | 放射線の実体 | 核種の変化 | 質量数 |
α線 | Heの原子核 | 原子番号が2つ減る | 4減る |
β線 | 高速な電子 | 原子番号が1つ増える | 変化しない |
γ線 | 波長の短い電磁波 | 変化しない | 変化しない |
ここでのポイントは「原子は永久不変ではない」ということだ。
α線やβ線を放射することにより、他の原子へと変化するのである。
このことを原子核崩壊という。なお、γ線を放射しても原子核は崩壊しない。
α線、β線については「原子核崩壊」で詳説するので、ここではγ線について説明しよう。
原子核に蓄えられたエネルギーをγ線として放射するのがγ崩壊だ。
原子番号、質量数ともに変化はしない。
つまりγ線を放射しても原子核は崩壊しないのだ。
波長が10-12mよりも短い電磁波をγ線という。
エックス線よりもエネルギーが大きいということだ。
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2005/06/18