物理学解体新書

原子核変換

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原子核変換とは

人工的に原子核を変える:原子核変換

原子は永久不変と思われていたが、不安定な原子核は自然に放射線を放って、他の原子核へと変化することが分かった。
これが原子核崩壊である。


これに対し、人工的に原子核を変化させる場合を原子核変換という。
原子核に核子(陽子、中性子)や他の原子核を衝突させることで、陽子と中性子の組み合わせが変わり、異なった原子核が生成される現象だ。




史上初の原子核変換

ラザフォードは窒素の原子核にアルファ粒子を衝突させると、酸素の同位体と陽子が生成することを発見した。
これが人工的に原子核を変化させる史上初の例となった。1914年のことである。
この様子を示した式が、以下の核反応式だ。
\[ \ce{^{14}_{7}N + ^{4}_{2}He -> ^{1}_{1}H + ^{17}_{8}O} \]


元素記号の左上は質量数が、左下は陽子数が記載されている。
質量数は陽子数と中性子数の合計であり、陽子数は原子番号に等しい。

元素記号


核反応式の左辺にある窒素とアルファ粒子の質量数の合計は18、陽子数の合計は9だ。
これは、この核反応には9個の陽子と9個の中性子が参加していることを意味している。

元素記号


同様に右辺では水素と酸素の質量数の質量数の合計は18、陽子数の合計は9になっている。
核反応の前後で、陽子数も中性子数も質量数も変化しないのである。
これは、原子核変換では、核反応に参加した陽子と中性子が組み替えられることを意味している。




他の原子核変換

1932年になるとコックロフトとワルトンが、陽子をリチウムに衝突させることで、アルファ粒子が二つ生成することを発見した。
\[ \ce{^{1}_{1}H + ^{7}_{3}Li -> 2^{4}_{2}He} \]


ここでもやはり、核反応の前後で、陽子数も中性子数も質量数も変化しないことが確認できる。
4個の陽子と4個の中性子が各反応に参加し、組み替えられたのだ。


中性子はチャドウィックによって発見されたが、これは原子核変換の実験に伴ってのことだ。
アルファ粒子をベリリウムに衝突させることで、中性子が放出され炭素が生成する。
\[ \ce{^{9}_{4}Be + ^{4}_{2}He -> ^{1}_{0}n + ^{12}_{6}C} \]


中性子は核子1個分なので左上が1となり、陽子を持たないので左下は0と書く。

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2005/06/18
2016/11/18



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