物理学解体新書

仕事

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仕事の原理

どのように工夫しても仕事の大きさは変らない。
これを仕事の原理という。



仕事の原理があるので次の二つの仕事の大きさは同等になる。
A:20kgの荷物を背負い、10mの梯子(はしご)を垂直に登る
B:20kgの荷物を押して、高低差10mのゆるい坂を登る


Aに比べて、Bで必要な力は少なくてすむ。しかし、より長い距離を移動しなくてはならない。
(仕事)=(力)×(移動距離)なので、力で楽しても、より長い距離を移動しなくてはならないのだ。



これはテコの原理にも通じる。
テコは重いものでも、少ない力で動かすことができる道具である。
その起源は古く、4大文明発祥以前から知られていたようだ。



できるだけ力を要しないためには、極力長い柄のテコが必要である。
ここで注意しなくてはならないのは、柄の長いテコを使用して特するのは「力」であって、「仕事」ではないということだ。
柄が長くなれば、テコを押し下げる距離は長くなる。
つまり「力で楽しても、より長い距離を移動しなくてはならない」という仕事の原理が作用していることが分かる。



この仕事の原理には、重大なメッセージが込められている。
仕事の総量は変化しないから、仕事を使ってそれ以上に大きな仕事を作りだすことができないということだ。



仕事を使ってそれ以上に大きな仕事を作りだす装置・手段を「永久機関」という。
仕事の原理や後述するエネルギー保存の法則から、永久機関は実現不可能である。



科学・理工学発展の歴史の中で、多くの研究者が永久機関開発に挑戦し、失敗を続けてきた。
このような失敗例の積み重ねの中から、仕事の原理やエネルギー保存の法則が発見されたのである。
化学が錬金術を母体として発達してきた歴史と似ているかもしれない。

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2005/08/27
2009/06/21



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