物理学解体新書

会話で分かる考察の書き方のテクニック

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会話で分かる考察の書き方のテクニック

テクニック3:レポート採点の基準を知る

このあと、院生はレポート採点の基準を教えてくれました。


院生 「実験レポートでは、どれだけ理論を分かっているかで採点しているんだよ。」


ボク 「実験レポートを見ただけで、理解の度合いはわかるのでしょうか?」


院生 「そりゃ、指導教員には分かるよ。このことも実験レポートは形を変えたテストだと考えれば、理解しやすいよね。」


ボク 「テストなんですか?」


院生 「そうだよ。よく、自由論述式のテストで"△△について論ぜよ"という出題形式があるだろ。論述させて、そのテーマをちゃんと理解しているかどうかを試すんだ。
考察も、自由に論述させて、その実験テーマをちゃんと理解しているかどうかを試しているんだよ。普通のテストと違うのは、自宅でやっていいのと、参考資料も見放題だってことだね。」


ボク 「・・・。わかったような気がしますが・・・・。考察はテストの一種ということですか。」


院生 「例えば、ヤング率の測定の実験をやったとする。考察は"ヤング率の測定結果について論ぜよ"という論述問題だと思えばいい。この場合、採点者はどういう視点で採点するかな?」


ボク 「実験の原理を正しく把握しているか、などですか?」


院生 「それもある。でもそれだけだったら、実験のテキストを写せばできてしまうので採点にならない。
また、"正しい値が得られているか"といった基準でも採点しない。実験のテキストの参考値を丸写しすればいいんだからね。 "実験の結果・進め方が妥当かどうかを、実験者自身が検討できているか"を見て採点するんだ。」


ボク 「そうなんですか!」


院生 「実験の結果・進め方を検討するという視点で考察を書けば、採点者は点数を付けやすいよね。」


ボク 「それは、そうですが・・・。」


院生 「"実験の見込みを持つ""実験精度を邪魔する要因をピックアップする"といったことは、"実験の結果・進め方を検討する"の第一歩なんだよね。"実験精度を邪魔する要因"は実験テキストのどこにも載っていない。"実験精度を邪魔する要因"がどの程度実験結果に作用したかを論じるということは、"実験者自身が検討できている"ことの証だよね。指導教員は採点しやすいよね。」


ボク 「なるほど、そうすると、さきほどのグラフの形状も"実験者自身が検討できている"ことの証になりますね。」


院生 「そうだよ。実験の中身を十分に検討していないと、グラフの形状は論じられないよね。だから、グラフの形状を論じていると、指導教員は採点しやすいんだ。」


ボク 「なるほど、そうだったのですね。」


院生 「もちろん、これ以外にも採点の基準はあるよ。"論理立てて矛盾なく書かれているか"なども採点基準だよね。でも、"実験の結果・進め方が妥当かどうかを、実験者自身が検討できているか"はウエイトが高い。採点時に重要視されているんだ。でも"実験精度を邪魔する要因"をピックアップすれば、そんなに難しいことではないはずだ。」


ボク 「はい、そうです。」


院生 「教員がどんな視点で考察を採点するかを考えれば、いい考察も書けるはずだ。今回の考察も、そんな調子でうまくやってよ。」


ボク 「いろいろ、ありがとうございました。」

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