誘電体
比誘電率
比誘電率とは
電荷間に作用する力は、二つの電荷の積に比例し、電荷間の距離の二乗に反比例する。
これをクーロンの法則という。
比例定数kは電荷間にある物質によって特有の値である。
たとえば上記の二つの電荷が真空中にあるとき、kの値は約9.0×109[Nm2/C2]であるが、灯油中では約4.1×109[Nm2/C2]となる。
つまり、同じ電荷、同じ距離であっても、灯油の中ではクーロン力は真空中の約\(\displaystyle \frac{ 1 }{2.2 }\)になるのだ。
チタン酸バリウムのkの値は6.0×106[Nm2/C2]だ。
このためチタン酸バリウムの中に上記の電荷を持ってくると、クーロン力は真空中の約\(\displaystyle \frac{ 1 }{1500}\)になる。
このように物質中でのクーロン力は真空中よりも弱くなる。
物質中でのクーロン力が真空中に比較して何分の1になるかを示した値を比誘電率といい\(\large{\varepsilon}_{ r }\)で示す。
先ほどの、灯油の中のクーロン力は真空中の約\(\displaystyle \frac{ 1 }{2.2 }\)になるのだから、灯油の比誘電率\(\large{\varepsilon}_{ r }\)は2.2である。
物質中でクーロン力が弱まるのは物質の誘電分極の影響である。
誘電分極が起きたのだから、クーロン力を弱めたこれら物質は誘電体である。
誘電体はなぜ電場を弱めるのか
誘電体を電場中におくと誘電体の表面に分極電荷が出現することは前ページで説明した。
真空中で平行におかれた導体板に正負等量の電荷Qを与えると、導体板の間に電場E0が生じる。
この導体板の間に誘電体を入れると、誘電体は電場E0の影響を受け、分極電荷qが出現する。
誘電体の内部には分極電荷qによって新たな電場Erが作られる。
誘電体の内部の電場Erは元々の電場E0と逆向きだから、E0を弱める効果を持つ。
その結果、誘電体の内部に生じる電場Eは元々の電場E0と分極電荷Erの差になる。
この誘電体の誘電率が\(\large{\varepsilon}_{ r }\)だとすると、EはE0/\(\large{\varepsilon}_{ r }\)となる
■次のページ:誘電率
スポンサーリンク
2016/11/13