静電容量
静電エネルギー
乾電池に豆電球を接続すると点灯する。
乾電池から豆電球に電流が流れることによって、仕事をするからだ。
このことから、乾電池は内部にエネルギーを持っていたことになる。
(「仕事とエネルギー」参照」)
充電されたコンデンサーに豆電球を接続すると、電流が流れて点灯する。
電荷をすべて放電してしまえば、豆電球は消灯する。
充電されたコンデンサーは、豆電球に対して、仕事をしたのだ。
コンデンサーも、充電していれば、内部にエネルギーを持っていたことになる。
コンデンサーが内部に蓄えたエネルギーを静電エネルギーという。
静電エネルギーは極板間の電場に蓄えられている。
「コンデンサーを充電する」とは「コンデンサーに静電エネルギーを与える」と等しい。
コンデンサーを充電するためには、電荷を運ばなくてはならない。
そのためには、先に極板に溜まった電荷による電界に逆らって、次の電荷を運ぶ必要がある。
つまり、仕事が必要だ。
電荷の運搬に要した仕事の総量が、静電エネルギーとなる。
同じサイズ、同じ形状、同じ質量のレンガをドンドン積み上げていくとしよう。
積み上げたレンガが高くなるにつれ、1個を積む作業はつらくなっていく。
高く持ち上げるほど、仕事は大きくなっていくからだ。
電荷をコンデンサーに運ぶ仕事もこれに似ている。
1個目の電荷の電荷を運ぶことは楽勝だ。
最初、極板には電荷がないので、1個目の電荷は何の抵抗もなく運搬できる。
2個目の電荷の運搬には、少々の仕事を要する。
すでに運ばれた1個目の電荷が極板上にあって電場を作る。
2個目の電荷は、この電場に逆らって運ばれるからだ。
3個目の電荷の運搬には、さらに仕事を要する。
1個目、2個目の電荷が極板上で作る電場に逆らわなくてはならないからだ。
このように、電荷を運ぶほどより多くの仕事が必要になってくる。
静電容量の式Q=CVは、電荷が増えると電位が増加することを示している。
電荷が極板に貯まるほど、次の電荷の運搬により大きな仕事が必要であることが、この式からも理解できる。
ここでは、電荷をコンデンサーの極板間を移動させることによって、静電エネルギーを定義してみよう。
電荷はマイナス極板からプラスの極板へ運搬すると考える。
仕事は、力×移動距離で定義される。(「仕事とエネルギー」参照)
1個の電荷の運搬に要する仕事Wは、(電荷にかかる力Eq)×(移動距離d)だ。
電荷と電位の関係式Ed=Vを代入するとW=Vqとなる。
電位Vは、「単位電荷あたりの仕事」であることもこの式で確認できる。
電荷と電位の積が仕事なのだ。
Q=CVの式とグラフから静電エネルギーはQV/2であることが、感覚で予想できる。
Q=CVのグラフがX軸と作る三角形の面積が、静電エネルギーに相当するのだ。
101個目の電荷を運ぶ場合、この電荷はすでに蓄えられた100個の電荷が作る電位V100を遡る必要がある。
このときの仕事はV100qだ。
201個目の電荷を運ぶ場合の仕事は、V200qだ。
大量の電荷を運んだ結果、極板に合計Qの電荷が貯まり、電位がVになったとする。
個々の電荷を運ぶ仕事をすべて加算すると、Q=CVのグラフがX軸と作る三角形の面積に等しくなる。
三角形の面積は(底辺Q)×(高さV)/2だ。
このようにして得られたW=QV/2が静電エネルギーとして蓄えられるのである。
静電エネルギーは、極板間の電場として蓄えられている。
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2006/09/09