物理学解体新書

SI単位(国際単位)

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SI単位(国際単位)とは

同一の物理量であるのに、さまざまな単位が混用されるのは、都度換算する必要があり効率的でない。
各物理量で用いられるさまざまな単位を、より多くの人が使用している単位に統一し、できれば世界共通で使用するのが効率的だ。


そのような目的から、1875年に、世界各国の計量単位を統一するためのメートル条約が締結された。


本来「1つの物理量が1つの単位」であることが望ましい。
しかし、科学・工学の発展とともに、同じメートル法でありながら、その内部に「重力単位系」「CGS単位系」「MKS単位系」等が並存してしまい「1つの物理量に複数種の単位」という事態が起こった。

例えるなら、メートル法の内部に、いくつかの派閥が出来たということだ。


「1つの物理量が1つの単位」を実現するため、新たに国際単位系(SI単位系)が提案され、1960年の国際度量衡会議総会(メートル条約加盟国の意思決定機関)で採択された。


国際単位系(SI単位系)は「MKS単位系」を拡張した単位系である。
メートル法の最大派閥であった「MKS単位系」が、さらに発展し主流となったようなものだ。


日本では1991年にJIS(日本工業規格)が国際単位系(SI単位系)に準拠し、1993年には国際単位系(SI単位系)を採用した計量法が施行された。


国際単位系(SI単位系)は7つの基本単位、それらを組み合わせた組み立て単位、さらにそれらの倍数を表現する接頭辞から成立している。
また、組み立て単位の中には、固有の名称を持つ単位もある。
SI単位(国際単位)


これらについて、順次説明していこう。


世の中には様々な物理量がある。
例えば、加速度、圧力、電荷量、電圧、線量当量、磁束密度・・・・・など挙げればキリがない。
だから、これらすべての物理量に独自の単位を割り当てるのは現実的ではない。


そこで、国際単位系(SI単位系)では、多くの物理量の中で「最も基本となる物理量の単位」を「基本単位」として7つ設定した。
下表が7つの基本単位である。

物理量名称記号
長さメートルm
質量キログラムkg
時間s
電流アンペアA
熱力学温度ケルビンK
物質量モルmol
光度カンデラcd


上の表を見て分かる通り、質量以外の「基本単位」はすべて、自然の法則から導き出すことができる。
(質量も自然の法則から導き出せるよう、定義の変更が検討されている)



国際単位系(SI単位系)では、基本単位以外の物理量の単位は、基本単位の組み合わせで表現することにした。
このような単位を「組み立て単位」という。


組み立て単位」の例として「速度」がある。
「速度」は「距離」/「時間」である。
そこで、「速度の単位」は「距離の単位(m)」を「時間の単位(s)」で割ったものとなる。
だから、速度の単位は[m/s]として表現されるのだ。

まさに、[m]と[s]を組み合わせて、新たな単位を作り出したのである。


組み立て単位を利用することによって、世の中に存在する多くの物理量の単位を、7つの基本単位だけで規定することができるのである。
例えば、加速度や力も基本単位の組み合わせで表現することができるのだ。


物理量定義単位
速度距離[m] / 時間[s][m/s]
加速度速度[m/s] / 時間[s][m/s2]
加速度[m/s2] × 質量[kg][kg・m/s2]



余談

平面角[rad](ラジアン)と立体角[sr](ステラジアン)は組み立て単位の一種であるが、この二つは以前は補助単位として分類されていた。

現在では補助単位という分類は計量法にはない。



7種類の単位の組み合わせだけで、他の物理量の単位が誘導できるのは便利である反面、単位をパッと見ただけでそれが何の物理量を表しているのか直観しにくい。


そこで、重要な物理量には、組み立て単位とは別に、特別な名称を与えることにした。
例えば、「力」という物理量には[kg・m/s2]という組立単位のほかに、[N](ニュートン)という単位を与えている。
従って、1[kg・m/s2] = 1[N]である。


[N](ニュートン)のような組み立て単位を「固有の名称を持つ組み立て単位」と呼ぶ。
「固有の名称を持つ組み立て単位」には、他に圧力の[P](パスカル)、抵抗の[Ω](オーム)がある。


基本単位組み立て単位を導入することにより、国際単位系(SI単位系)は「1つの物理量が1つの単位」を実現することができた。
また、より便利にするために「固有の名称を持つ組み立て単位」も認められた。


ところが、ここで不便が残った。
巨大な数値が扱いにくいのだ。


電圧が2000万ボルトである場合、
20,000,000[V]
と書くが、桁数が長すぎて実用的でない。


ここで指数を使用すれば、ある程度の実用性は改善する。
20,000,000[V]  = 2×107[V]


しかし、指数を見ただけでは、まだまだ直観から程遠いので「接頭辞」を用意することにした。
接頭辞」とは、指数の3桁ごとに用意された「倍を表す言葉」である。


例えば103(千倍)には「k(キロ)」、106(百万倍)には「M(メガ)」という接頭辞を用意する。
20,000,000[V]  = 20[MV](メガボルト)になる。


20,000,000[V]は20×106[V]である。
「106」はM(メガ)なので、106をM(メガ)に置き換えて20[MV](メガボルト)になるのだ。


接頭辞」は、3桁ごとのコンマに一致しているので覚えやすい。
「k(キロ)」、「M(メガ)」は単に103(千倍) 、106(百万倍)という倍率を示しているだけなので、その中には物理量は含んでいない。


従って、接頭辞が単独で量を示すことはなく、必ず基本単位や組立単位と組み合わされなくてはならない。

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2008/01/08



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