なぜ、レポート提出を求めるのか
HOME> 実験レポートの書き方>なぜ、レポート提出を求めるのか>報告義務のない実験は例外
実験が終了するとレポートを作成して提出しなくてはならない。
ここでは、学校側が学生にレポートを作成させる意図を解説しよう。
ここでの解説も「たてまえ論」だ。
当然ながら本音や実態は、これと異なる場合が多い。
しかし、この「たてまえ論」を押さえておかないと、単位に結びつくレポートを書くことができない。
報告義務のない実験は例外
キャベンディッシュは、水素の発見や万有引力定数の測定といった業績で知られる英国の学者だ。
キャベンディッシュは大貴族であった。
莫大な財産から得られる利子所得によって、生活していた。だから働く必要はなかった。
自分の楽しみや知的好奇心のためだけに、部屋にこもって物理や化学の研究に没頭していた。
だから、新発見をしても、発表しないことも多々あった。
キャベンディッシュの没年は1810年。
それから70年ほどして、本人直筆のノートが発見され、その内容を見たマックスウエルを驚愕させた。
ノートが作成された時点では、まだ未発見であったはずの法則(オームの法則、クーロンの法則等)が、そこに記述されていたからである。
キャベンディッシュは、新法則を発見しながらも、それを発表しなかたのだ。
オームの法則は1826年に発見・発表されている。
だからオームの法則はキャベンディッシュの死後に再発見されたというのが真実なのだ。
クーロンの法則が明らかになったのは、キャベンディッシュの存命中の1785年から1789年にかけてのことだ。
発見者のクーロンよりも先に、キャベンディッシュがこの法則を先に見出していたことも、このノートに記された日付よって明らかだ。
しかし、クーロンの法則発表当時、キャベンディッシュは自分が先行していることを主張することはなかった。
つまり、キャベンディッシュは報告・発表するつもりなどなかったのだ。
大発見をしながら、それらを報告・発表しなかったからといって、キャベンディッシュを非難することはできない。
キャベンディッシュは誰かに雇われたり、頼まれたり、命令されたりして実験したのではない。
自分の道楽として、私費だけで実験に明け暮れたのだ。
キャベンディッシュには、研究や実験の発表や報告の義務はなかったのだ。
しかし普通はこうはいかない。
会社や官庁に雇用され、給料をもらって研究、開発をするのが普通だ。
相手は、研究、開発の成果と引き換えに賃金を支払う。
支払うからには目に見える成果を求める。
これが報告書(レポート)なのだ。
雇用されている限り、研究・開発には報告書を提出する義務が付きまとう。
■次のページ:キチンとしたレポートとは?
スポンサーリンク
2005/09/04