放射能[3]
HOME> ピンポイント解説>放射能>放射線発生のメカニズム
放射線発生のメカニズム
放射線発生の原因は大きく3つに分かれる。
放射線発生の原因 | 放射線 | 放射線発生のメカニズム |
放射性核種の崩壊 | α線 β線 γ線 | 放射性核種が安定核種になろうとして余剰な粒子をα線、β線として放出する。 余剰なエネルギーをγ線として放出する |
原子核分裂 | 中性子線 | ある種の原子核に中性子が突入すると、その原子核はふたつに分裂する。その際に2〜3個程度の中性子を放出する |
金属への電子線照射 | X線 | 金属へ電子が照射されると、電子は急激に減速する。電子が持っていた運動エネルギーがX線になって放出される |
放射性核種の崩壊
すべての原子核が安定して存在するのではない。原子核の中には不安定なものも存在する。
不安定な原子核が放射線を出して他の種類の原子核に変換されていくのだ。
これらを放射性同位体または放射性核種という。
原子核は陽子と中性子から構成される。
原子核が安定するか不安定なものになるのかは、陽子と中性子の数のバランスで決まる。
例えば天然に存在する炭素原子には以下の種類がある。
安定するかどうかは陽子と中性子の数のバランスで決まることが確認できる。
同位体 | 陽子数 | 中性子数 | 同位体の種類 |
11C | 6 | 5 | 放射性同位体 |
12C | 6 | 6 | 安定同位体 |
13C | 6 | 7 | 安定同位体 |
14C | 6 | 8 | 放射性同位体 |
この炭素の例の場合、質量数11と質量数14の同位体は、陽子と中性子の数のバランスがよくない。
従って、安定できないので放射性同位体となる。
炭素に限らず、安定できない原子が放射線を出して崩壊するのだ。
放射性同位体は勝手気ままに崩壊するのではない。
崩壊には2つのパターンがある。α崩壊とβ崩壊だ。
これ以外のパターンで崩壊することはない。
崩壊 | 放射線 | 原子番号 | 質量数 |
α崩壊 | α線(Heの原子核) | 2つ減る | 4減る |
β崩壊 | β線(高速な電子) | 1つ増える | 変化しない |
α崩壊を起こすとα線が放射され、β崩壊するとβ線が放射されるのだ。
放射線を出しても、まだ原子核にエネルギーが余剰の場合、この余剰分がγ線として放射されるのだ。
原子力発電の燃料であるウランは、放射性核種である。
原子力発電はウランを原子核分裂させることで、熱エネルギーを得ている。
ウランが分裂することによって他の核種が生成されるが、これも多くの場合放射性核種だ。
「死の灰」と呼ばれているものがこれにあたる。
原子力発電所からの放射能漏れといったら、この放射性核種が外部の環境に放出されることをいう。
■次のページ:原子核分裂
スポンサーリンク
2005/07/18