物理学解体新書

ネイピア数

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ネイピア数と微分

ネイピア数と接線の傾き

ネイピア数を底とする指数関数\(y=e^x\) はy切片(\(x=0\))での接線の傾きが1であることが分かった。
(前ページ参照)
y切片(\(x=0\))での接線の傾きが1となる数をネイピア数と定義したのだから、これは不思議ではない。

指数関数\(y=e^x\)で、さまざまな\(x\) のときのyの値と、そのときの接線の傾きを調べてみると次の表になる。

xy接線の傾き
-20.1353352830.135335283
-10.3678794410.367879441
011
0.11.1051709181.105170918
12.7182818282.718281828
27.3890560997.389056099
1022026.4657922026.46579

この表を見ると、xがどんな値であっても、指数関数\(y=e^x\)ではyの値と、そのときの接線の傾きが一致していることが分かる。

ある関数の導関数は、その関数の接線の傾きを示す。
xがどんな値であってもyの値と導関数y'の値が等しいということは、もともとの関数と導関数が同じ形であるという意味だ。
ネイピア数\(e\)を底とする指数関数\(y=e^x\)は微分しても姿が変化しないのである。

これは次式のように表現できる。 \[ (e^x)'=e^x \]



微分しても変化しない証明

ここでは、指数関数\(y=e^x\)は微分してもそのまま\(y=e^x\)となることを証明しよう。

つまり、次式を証明するのである。 \[ (e^x)'=e^x \]


微分の定義に当てはめると、\(y=e^x\) の導関数は次式となる。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^{x+h}-e^x}{ (x+h)-x } \]


指数の法則を用いると、\(e^{x+h}\)は\({e^x}{e^h}\)に変形することができる。さらに分母を整理する。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^xe^h-e^x}{ h } \]


分子を\(e^x\) でくくる。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^x(e^h-1)}{ h } \]


さらに\(e^x\) をlimの前に出す。\(e^x\) に\(h\)は含まれていないので、 limの前に出しても式に影響しないのだ。
\[ (e^x)'=e^x\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^h-1}{ h } \]


上記の式を見ると、limの後ろが前ページで確認したネイピア数\(e\)の定義の式であることに気づく。
ネイピア数\(e\)の定義は以下だ。 \[ \lim_{ h \to 0 }\frac{ e^{h}-1}{ h }=1 \]


ということは、limの後ろは1なのである。
式にネイピア数\(e\)の定義を代入すると、次式になる。
\[ (e^x)'=e^x \]


\(e^x\) の導関数は、\(e^x\)のままなのだ。

■次のページ:ネイピア数の定義

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2016/10/09



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