ネイピア数
ネイピア数と微分
ネイピア数と接線の傾き
ネイピア数を底とする指数関数\(y=e^x\) はy切片(\(x=0\))での接線の傾きが1であることが分かった。
(前ページ参照)
y切片(\(x=0\))での接線の傾きが1となる数をネイピア数と定義したのだから、これは不思議ではない。
指数関数\(y=e^x\)で、さまざまな\(x\) のときのyの値と、そのときの接線の傾きを調べてみると次の表になる。
x | y | 接線の傾き |
-2 | 0.135335283 | 0.135335283 |
-1 | 0.367879441 | 0.367879441 |
0 | 1 | 1 |
0.1 | 1.105170918 | 1.105170918 |
1 | 2.718281828 | 2.718281828 |
2 | 7.389056099 | 7.389056099 |
10 | 22026.46579 | 22026.46579 |
この表を見ると、xがどんな値であっても、指数関数\(y=e^x\)ではyの値と、そのときの接線の傾きが一致していることが分かる。
ある関数の導関数は、その関数の接線の傾きを示す。
xがどんな値であってもyの値と導関数y'の値が等しいということは、もともとの関数と導関数が同じ形であるという意味だ。
ネイピア数\(e\)を底とする指数関数\(y=e^x\)は微分しても姿が変化しないのである。
これは次式のように表現できる。 \[ (e^x)'=e^x \]
微分しても変化しない証明
ここでは、指数関数\(y=e^x\)は微分してもそのまま\(y=e^x\)となることを証明しよう。
つまり、次式を証明するのである。 \[ (e^x)'=e^x \]
微分の定義に当てはめると、\(y=e^x\) の導関数は次式となる。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^{x+h}-e^x}{ (x+h)-x } \]
指数の法則を用いると、\(e^{x+h}\)は\({e^x}{e^h}\)に変形することができる。さらに分母を整理する。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^xe^h-e^x}{ h } \]
分子を\(e^x\) でくくる。 \[ (e^x)'=\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^x(e^h-1)}{ h } \]
さらに\(e^x\) をlimの前に出す。\(e^x\) に\(h\)は含まれていないので、 limの前に出しても式に影響しないのだ。
\[
(e^x)'=e^x\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^h-1}{ h }
\]
上記の式を見ると、limの後ろが前ページで確認したネイピア数\(e\)の定義の式であることに気づく。
ネイピア数\(e\)の定義は以下だ。
\[
\lim_{ h \to 0 }\frac{ e^{h}-1}{ h }=1
\]
ということは、limの後ろは1なのである。
式にネイピア数\(e\)の定義を代入すると、次式になる。
\[
(e^x)'=e^x
\]
\(e^x\) の導関数は、\(e^x\)のままなのだ。
■次のページ:ネイピア数の定義
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2016/10/09