作用・反作用の法則の疑問
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空気を蹴り続けても反作用で上昇できないのは何故か?
力は単独では存在できない。常に等大逆向きの力とペアになって存在するのである。
これが作用・反作用の法則である。
この「等大逆向きの力がペア」がクセものであり、理解しにくさ・分かりにくさの原因になっている。
ここでは、作用・反作用の法則に関して次の3つの疑問を解き明かすことにする。
空気を蹴り続けても反作用で上昇できないのは何故か?
地面を蹴れば、反作用でジャンプできる。
空気を蹴っても同様に反作用はあるはずだ。
しかし、空気を蹴ってもジャンプできないのは何故だろうか?
空気を蹴り続ければ、上空まで上昇できるはずである。
この問題は、
「走れば、空気とぶつかって、人間は後ろに弾き飛ばされるはずだ」
と本質は同じである。
「空気を蹴ってジャンプできない」や「空気とぶつかっても、弾き飛ばされない」は「人間にとって、空気の反作用は無視できるほど小さい」ことに依存する。
同じ体重(正しくは質量)、同じ体格の人間A、Bが、走ってぶつかれば、お互いに後に倒れるだろう。
ところが同じ体格であっても、Bの体重が著しく軽かったら、Bのみ後に倒れ、Aはよろける程度となる。
さらに、Bの体重が空気なみに軽かったら、Bは弾き飛ばされるが、Aは衝突の衝撃を感じることもないだろう。
これは、ピンポン玉と鉄球の衝突でも同じことが言える。
ピンポン玉と鉄球の衝突したとき、作用・反作用の法則によって、それぞれが相手から受ける力は等大だ。
ところが、運動量保存の法則によって、鉄球はそのままだが、ピンポン玉は弾き飛ばされる。
鉄球はピンポン玉より重い(質量が大きい)ため動きにくいからだ。
衝突によって受ける力は同じであるが、衝突後の動きは質量によって違ってくる。
質量の小さいもの(軽いもの)は動きやすいので弾け飛び、質量の大きいもの(重いもの)は動きに影響を受けにくいのだ。
同じ大きさの力を受けながら、ピンポン玉は簡単に弾かれ、鉄球は動きにくいのである。
ピンポン玉と鉄球の関係は、空気分子と人間の関係に置き換えることができる。
空気を蹴れば、空気分子と足は、作用・反作用の法則で逆向き・等大の力を受ける。
空気分子の質量は圧倒的に小さいので、足とぶつかると簡単に弾け飛んでしまうのだ。
もちろん、足も空気分子から同じ大きさの力を受ける。
しかし、足の質量は圧倒的の大きいので、この程度の力では動きが影響されないのである。
このため、空気を蹴っても、空気が反作用で簡単に動いてしまうので反動を得ることはできない。
だから、空気を蹴って空を飛ぶことはできないが、空気と衝突してケガをすることもないのである。
なお、自動車等のスピードが速い場合、単位時間に衝突する空気分子の数が多くなる。
これが風圧である。
風圧は空気との衝突による反作用の現れでもある。
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