物理学解体新書

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バルマー系列の導出

\(n\)番目の軌道にいるときの電子のエネルギーを\(W_n\)とする。
電子のエネルギー\(W_n\)は、運動エネルギーと位置エネルギーの和だ。


前ページでクーロン力と遠心力の関係を以下の式で表した。 \[ \displaystyle \frac{ mv^2 }{r}=\displaystyle \frac{ 1 }{4\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r^2 } \]


運動エネルギーは\(\displaystyle \frac{ 1 }{2}mv^2\)だから、これを代入すると以下のようになる。 \[ \displaystyle \frac{ 1 }{2}mv^2=\displaystyle \frac{ 1 }{8\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r_n } \]


位置エネルギーは、単位電荷を電場に逆らって無限遠から運ぶ仕事である。 これは次のようになる。 \[ -\frac{ 1 }{4\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r_n } \]


電子のエネルギー\(W_n\)は、運動エネルギーと位置エネルギーの和なので次式となる。 \[ W_n=\displaystyle \frac{ 1 }{8\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r_n }-\frac{ 1 }{4\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r_n } \] \[ W_n =\displaystyle -\frac{ 1 }{8\pi\varepsilon_0 }\displaystyle \frac{ Ze^2 }{r_n } \]


前ページで求めた\(n\)番目の軌道半径\(r_n\)は次式だった。 \[ r_n=\displaystyle \frac{ \varepsilon_0 h^2 }{\pi me^2} \displaystyle \frac{ n^2 }{Z} \]


これを代入すると次式となる。 \[ W_n =\displaystyle -\frac{ me^4 }{8\pi\varepsilon_0^2 h^2 } \left(\displaystyle \frac{ Z }{n }\right )^2 \] \[ W_n =-2.175\times10^{-18} \left(\displaystyle \frac{ Z }{n }\right )^2 \]


振動条件では遷移の前後での電子のエネルギーの変化と、遷移で吸収される(放射される)電磁波の振動数の関係を次式で示した。
\[ W_i-W_j=h\nu \]


エネルギーの差をプランク定数\(h\)で割れば、吸収される(放射される)周波数\(\nu\)が得られる。 \[ \nu=\displaystyle \frac{ W_i-W_j }{h } \]


これを代入すると次式のようにバルマーの式と同じ形が得られる。 \[ \nu=\displaystyle \frac{ me^4 Z^2 }{8\pi\varepsilon_0^2 h^3 } \left(\displaystyle \frac{ 1 }{j^2 }-\frac{ 1 }{i^2 }\right ) \]

■最初のページ:量子力学:目次

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2017/04/24



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