物理学解体新書

ボーアモデル

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ボーアモデル

ボーアモデルとは

ラザフォードの実験によって原子の姿が見えてきたが、電子が原子核に墜落しないことが従来の物理学では説明できなかった。


バルマー系列の法則性とプランクの量子仮説を重ねることで、この謎に迫ったのがボーアであった。


電子は原子核の周囲で特定の軌道を回っていて、その軌道にいる限り、電磁波を放射をしない。


原子核の周囲には特定の軌道があり、電子がその軌道内にいる限り、電磁波を放射せず、墜落もしないと考えた。
軌道内にいることは、電子にとっての安全地帯なのだ。


原子核の周囲の軌道は一つではなく、レベルの異なる複数の軌道がある。
電子がある軌道から、別の軌道に移動するとき、レベルの差が光(電磁波)をなって放出されると考えた。
この放出される光が、バルマー系列の線スペクトルなのだ。


このような原子の構造をボーアモデルという。
ボーアモデルが成り立つために、ボーアは二つの条件を設定した。
量子条件振動条件である。


量子条件

電子は決められた軌道だけで許される。
この軌道上にいる限り、電磁波の吸収や放射は起こらない。
墜落もしない。


電子は原子核の周囲を回っているのだから、運動量を持っている。
ただし運動量は、好き勝手な値を取ることができない。


運動量は\(h/2\pi\)の整数倍の限られた値しかあり得ないのだ。
2倍、3倍の運動量はあっても、2.3倍や5.236倍はないのである。


つまり、運動量はとびとびの値になるのだ。
ここでも「とびとびの値」が登場したが、「とびとびの値」の値は量子力学では定番なのである。


円運動の運動量は\(mvr\)だ。
これが\(h/2\pi\)の整数倍に等しいのだから、その関係は次式となる。\((n=1,2,3,4\cdots)\)
\[ mvr=\displaystyle \frac{ h }{2\pi }n \]


\(h/2\pi\)を量子といい、\(n\)を主量子数という。
バルマー系列の比例式では、波長を整数の組み合わせで置き換えることができた。
バルマー系列で登場する整数は、この主量子数に関連する。


振動条件

電子がある軌道から別の軌道に移行することを遷移(せんい)という。
軌道内に収まっているときは安定だが、遷移するタイミングで電磁波を放射したり、吸収したりする。


遷移の前後で電子のエネルギーが\(W_1\)と\(W_2\)だったとする。
遷移で吸収される(放射される)電磁波の振動数は次式で与えられる。
\[ W_1-W_2=h\nu \]


プランクの量子仮説では、電磁波は振動数とプランク定数の積のエネルギーを持つを考えた。
電子が軌道間の移動で吸収される(放射される)光の振動数は、軌道間のエネルギーの差で決まるのだ。


次ページでは量子条件と振動条件の二つの式から、水素原子のサイズを求めてみよう。
そこから導かれるのは、水素原子の最小軌道を示すボーア半径である。

■次のページ:ボーア半径

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2017/04/24



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