物理学解体新書

温度と熱

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温度の単位と熱の単位

温度の単位

温度の単位としてなじみ深いのが「℃」だ。
「セ氏(摂氏)温度」「セルシウス温度」ともいう。
水の凝固点(氷点)を0度、沸点を100度とした温度体系である。
(ただし、今日の厳密な定義は異なる。)


セ氏温度に273.15度を加えたものが、絶対温度である。
単位はK(ケルビン)で表す。
水の凝固点(氷点)は、セ氏で0℃、絶対温度で273.15Kとなる。
絶対温度は別名「熱力学温度」とも呼ばれている。


セ氏温度は、水の凝固点(氷点)を基準として「0℃」としている。
絶対温度の0K(絶対0度)は「マイナス273.15℃」となる。
「マイナス273.15℃」という中途半端な数字にどれほどの意味があるのだろうか?
実は「マイナス273.15℃」とは、この宇宙で最も低い温度なのである。


「宇宙で最も低い温度」といっても、「今まで観測した中で、記録に残る最も低い温度」という意味ではない。
マイナス273.15℃以下の温度は、宇宙のどこを探そうとも、絶対にあり得ないのだ。


物体は原子から構成されており、各原子は常に振動(または移動)している。
つまり、各原子は運動エネルギーを持っているのだ。


静止した物体Cの運動エネルギーはゼロである。
しかし、この物体Cを構成する原子はすべて運動エネルギーを持っているため、物体Cの内部はエネルギーで満ち溢れていることになる。
このエネルギーを内部エネルギーと呼ぶ。


内部の原子が激しく振動(または移動)するほど、内部エネルギーは大きくなる。
内部エネルギーが大きいほど、その物体の温度は高い。


一方で、内部の原子の振動(または移動)がおとなしくなるほど、内部エネルギーは小さくなるので、その物体の温度は低くなる。


内部の原子がまったく振動しなければ、内部エネルギーはゼロになる。
これがマイナス273.15℃、つまり絶対0度だ。
原子がまったく振動しない状態よりもさらに、内部エネルギーを低くすることはできない。
絶対0度が最も低い温度なのだ。


熱力学を論じるとき、絶対温度はセ氏よりも非常に合理的なのだ。




熱の単位

熱はエネルギーの一形態である。
物体は外部から流入した熱を、内部エネルギーとして蓄積するのだ。


内部にあれば「内部エネルギー」、外部にあれば「熱」というように、物体の内外によってエネルギーの名称が変わるとイメージすると理解しやすい。
熱の単位はエネルギーと同じでJ(ジュール)で示す。


以前、熱の単位にはcal(カロリー)が割り当てられていたことがあった。
これは、熱がエネルギーの一形態であることが究明される以前にcal(カロリー)が定義された歴史的な経緯による。
現在でも、慣習としてcalが使用されている場合もある。


cal(カロリー)とJ(ジュール)は同次元のため、以下の式で換算することができる。
1 cal≒4.186J
この関係を熱の仕事当量という。

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2006/09/13



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