物理学解体新書

なぜ、実験課題があるのか

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科学・理工学の現場での実験(2/2)

技術開発・製品開発


メーカーの場合は、製品開発の各段階で実験を行う。


このように設計すれば、この性能が出るはずだという理論(見込み)がある。
これが仮説だ。
それを実験で検証するのだ。


繰り返すと「目標の性能、機能を達するための、設計や技術選択」が正しいかどうかを検証するのが、技術開発・製品開発における実験である。


例えば、装置の防音設計をする場合、最終的に騒音は□□dB以下にするという性能目標がある。
この性能目標を達成するために開発技術者は、防音材の選定や、部品配置の検討などを繰り返し、設計を進めるのだ。
これが仮説に相当する。仮説の段階ではまだ設計は完了していない。
設計が未完了の段階にある製品を一般に試作機、試作品という。


仮説が正しければ(設計が妥当であれば)、騒音は□□dB以下となるはずである。
これを検証するための、実験計画を立案する。
実験は、試作機の騒音が性能目標を満たしているかどうか、判定できるように計画しなくてはならない。


多くのメーカーでは、実験計画そのものが標準化されている。
試作機を実験する都度、計画をゼロから作成するとしたら能率が悪いし、実験方法が毎回異なれば、前任機や競合機との性能比較ができなくなるからだ。


騒音の実験であれば、試作機を音波試験用の無響室に入れ動作させ、その騒音を測定することになる。
試作機を動作させる時間や、集音マイクの位置、サンプリング回数などは標準に従うのだ。


実験の結果がでたら、性能目標と比較する。
目標を満たしていれば、設計は妥当であり、製品化に向けて一歩進んだことになる。
もし、目標を満たしていなければ、設計(仮説)に不備があるか、実験実施時の作業に誤りがあったかである。
この場合、実験計画の誤りは考えにくい。実験計画として信頼度が高いので全社で標準化したのであるからだ。


再度、実験し、同様の結果がでれば設計のやり直しとなる。

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2005/09/04



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