物理学解体新書

考察の書き方

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考察のコツ3:実験の発展案

実験には目的があり、その目的を達成するための手段が実験である。
目的を達成するためには、別の実験であってもいいはずだ。
そこで、代替案を考察する。
ただし、実験の誤差要因がまともに考察されていないのに、代替案はあり得ない。実験の妥当性をキチンと論じておいて、余裕があれば(または、妥当性のみでは心細い場合は)発展案を考察する。


実験プロセスの妥当性や誤りについて、検討する場が考察である。
しかし、実験課題はテキストで指定されているので、「実験の方法が本当に妥当か」を考察する余地はない。
そこで、実験の目的を良く理解したうえで、他の実験プランを考察する。


重力加速度はボルダの振り子を使用して測定する。この他にも斜面を利用した測定方法がある。
(ガリレオが実験した方法)
斜面での実験方法の精度や実現性を検討し、ボルダの振り子と比較してもいい。


実験課題で与えられる実験テーマは、過去多くの科学者達が取り組んできた実験内容ばかりである。
そこには、一つの目的に対して複数の測定方法が試された。
(例えば、重力加速度を求めるという目的に対し、ボルダの振り子や、斜面の方法、棒状物体の落下等の測定方法がある)
過去の測定方法を調べることによって、代替案をピックアップし、精度や実現性を以下のように論じればいいのだ。
「○○という代替案もあるが、精度が○○程度になるので、採用できない」
「○○という方法では、精度が高まるので、次回に実施したい」


「次回に実施したい」といっても「じゃぁ、やって」とは言われないので心配は無用である。
良い代替案があっても、設備・予算・時間の都合があるので、カリキュラムの中で学生にやらせることはないのだ。


実現できない代替案を考察して意味があるのかという疑問もある。
研究や開発の現場では、どうやって仮説を検証しようかと実験の方法に頭を使うことが多い。
代替案の検討は、理工系とって必要なスキルなのだ。
実験を求める意図を考えれば、代替案を考察していけない理由はないし、教職員もそれを望んでいる場合が多い。
根拠がしっかりした代替案であれば、どんどん考察していいだろう。


ただし、実験の誤差要因の考察が優先であることをくどいが、繰り返しておく。

■次のページ:なぜ考察が必要なのか?

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2005/09/04



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