物理学解体新書

レーザー技術入門[4]

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レーザーの原理

レーザー光を生成するもとになる物質をレーザー媒質という。


レーザー媒質で励起状態にある原子が誘導放出を起こしたとする。
もし、この原子の周囲に励起状態にある他の原子がなかったら、それ以上の誘導放出は起こらない。
つまりフォトンを十分に増幅するためには、大量の励起した原子が必要なのである。


十分な増幅が起こるためには、レーザー媒質中で励起状態にある原子の密度が、基底状態のある原子の密度よりも高い必要がある。
つまり、誘導放出にとって役に立つ原子(励起状態の原子)が多くなくてはならないのだ。
基底状態の原子よりも、励起状態にある原子の密度が高い状態を反転分布という。
このような分布は自然界にはあり得ない。自然界では基底状態の原子の方が多く分布しているのだ。


レーザー発振の装置では、放電、電子ビーム、光線などの励起源を使ってレーザー媒質の全域に渡って反転分布を起こさせる。
反転分布中で、誘導放出の増幅量が増え、さらにレーザー媒質を挟む共振ミラー間を光が往復するうちにさらに、増幅することになる。
誘導放出光の増幅量が、レーザー媒質内での損失量を超えるとレーザーが発振する。


励起源からのエネルギー供給で反転分布に導くことを、ポンピングという。
工業用のレーザー装置では、レーザー媒質、励起源、共振ミラーは一体となっている。
これをレーザーキャビティという。


レーザー媒質には様々な種類の物質が利用されている。
物質の種類によって、得られるレーザー光の波長は異なる。

■次のページ:励起方法と発振方法

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2006/01/14



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