レーザー技術入門[5]
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励起方法と発振方法
励起方法
レーザーを発振させるためには、レーザー媒質中の原子(または分子)が反転分布の状態である必要がある。
反転分布を起こすためには励起源からのエネルギー供給が必要であり、その手段には以下の種類がある。
励起の方法 | 内容 |
放電励起 | 気体レーザーの多くは、放電によって励起する。グロー放電・アーク放電が利用される。 |
光励起 | 固体レーザーや液体レーザーの多くは、光によって励起する。大光量のランプや、レーザー光を用いて励起する。 |
電子ビーム励起 | 電子を500kV以上の高速パルスの電圧で、光速近くまで加速した相対論的電子ビーム(REB)で励起する。 |
化学励起 | 化学反応で得られるエネルギーによって、励起する。外部からのエネルギー供給は必要としないユニークな励起源である。 |
電流励起 | 電流を注入することによって、レーザー媒質を励起する。主に半導体レーザーで利用される。 |
熱励起 | 熱エネルギーを用いて、レーザー媒質を励起する。 |
発振方法
発振の方法には、連続発振(CW)とパルス発振(P)がある。
パルス発振はさらに、ノーマルパルス発振とQスイッチパルス発振に分けられる。
発振の方法 | 内容 | |
連続発振(CW) Contimuous wave laser | 一定の出力を連続して発振する。 | |
パルス発振(P) | ノーマルパルス発振 | パルスの一発ごとの波形を制御することができる。 |
Qスイッチパルス発振 | 大きなエネルギーの照射を等間隔で発振することができる。 レーザー媒質中で、十分に反転分布が起こるまで待ち、一気にレーザーを発振させる方法である。 エネルギーを瞬時に解放するのでパルスの一発ごとの波形を細かく制御することはできない。 |
大きなピーク値を持つ、短パルスのレーザーを照射する発振方法が「Qスイッチパルス発振」である。
共振器内に蓄積された光エネルギーを、単位時間あたりの共振器の損失で割った値をQ値という。
最初に共振器のQ値を低い状態(損失が大きい状態)にしてポンピングを進める。
共振器の損失が大きいので、レーザーは発振されないまま、反転分布の状態がより大きくなる。
反転分布が最高に達した時点で、Q値を急激に高めると瞬時にレーザー発振が起こり、大きなピーク値を持つ、短パルスのレーザーが照射される。
Q値を切り替えることをQスイッチという。
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2006/01/14