物理学解体新書


エックス線技術入門[4]

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エックス線(X線)の作用

ここでは、エックス線(X線)の作用について解説する。
エックス線などの放射線の計測器は、これら作用を利用して放射線を検出する。


電離作用放射線が物質中を通過するとき、通路上にある原子が持つ電子を弾き飛ばしイオン化する。これを電離作用という。
化学作用放射線は写真を感光させる作用を持つ。これを化学作用、または写真作用という。
蛍光作用一部の蛍光物質は通過する放射線からエネルギーを得て、可視光を発する。これを蛍光作用という。



電離作用

エックス線などの放射線が物資中を通過するとき、経路上の原子から電子を剥ぎ取ってしまう。
これを電離作用、またはイオン化作用という。


エックス線などの放射線が持つエネルギーは高い。 経路上の原子は、エックス線などの放射線の通過によってこのエネルギーを得ることになる。
電子はエネルギーに応じた軌道に居るが、エネルギーを余分に得たことによって、飛び出してしまうのだ。


通常の原子は原子核の持つプラス電荷と、電子のマイナス電荷がバランスして合計の電荷がゼロの状態となっている。
電子が飛び出したので、原子はプラス電荷を帯びたイオンになる。
これが電離作用(イオン化作用)のメカニズムである。


電離作用を利用した計測器には、電離箱、比例計数管、ガイガーミュラー計数管がある。




化学作用

写真乳剤が塗られたフィルムに可視光が当たると、乳剤中に潜像が形成される。
これを現像すると、目に見える像が現れるこれが写真の原理だ。
このような原理を写真作用という。


エックス線などの放射線も可視光と同様の写真作用を示す。


放射線が写真乳剤に衝突すると、光電効果、コンプトン散乱を起し、電子を弾き飛ばす。
この電子が電離作用を引き起こして現像核を形成する。
この現像核を現像すると目に見える像になる。


化学作用を利用した計測器には、フィルムバッチがある。




蛍光作用

ある種の物質は通過する放射線からエネルギーを得て可視光を発する。これを蛍光作用という。 また、蛍光作用を持つ物質を蛍光物質、またはシンチレータという。


蛍光物質は、放射線の量に応じて発光する。 このため、蛍光の度合いによって放射線の量を測定することができるのだ。


蛍光物質の代表例としてはNaI(ヨウ化ナトリウム)、CsI(ヨウ化セシウム)、ZnS、CaWO4がある。

■次のページ:エックス線(X線)の単位

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2008/01/05



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