物理学解体新書


ドナー

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ドナーとは

不純物半導体とドナー

真性半導体にⅢ族やⅤ族の元素を混入すると、半導体の性質が大きく変化する。
半導体の性能をアップさせるために混入する元素を不純物という。
一般に不純物という言葉にはマイナスのイメージがあるが、半導体の場合は必要な物質なのだ。



不純物にはドナーアクセプタの二種類がある。
ドナーは自由電子を供給し、アクセプタ正孔(ホール)を供給する。



ドナーを含む不純物半導体n型半導体アクセプタを含むとp型半導体という。

混入する不純物元素の族放出するキャリア不純物を含む半導体の種類
ドナーⅤ族元素自由電子n型半導体
アクセプタⅢ族元素正孔(ホール)p型半導体


自由電子を供給するドナー

Si(シリコン)等、真性半導体を構成する元素は4個の電子で周囲の元素と共有結合している。
熱の影響で電子が共有結合から外れるとホールが生まれる。

このため、真性半導体の中では自由電子とホールがは同数だ。



5価の元素であるAs(ヒ素)を少量、真性半導体に混入すると、周囲のSi(シリコン)と共有結合するが、その中の電子の一つが余ってしまう。
最外殻の電子が5個あるからだ。



この余分な電子は、微少なエネルギーで容易にAs(ヒ素)から離脱し自由電子になる。
このように共有結合に寄与しない電子を、自由電子として放出する元素がドナーだ。



共有結合から電子が抜ければ、跡には正孔(ホール)が残る。
しかし、ドナーから余分な電子が離脱しても正孔(ホール)は残らない。



ドナーを混入させた半導体中では、正孔(ホール)に比較して自由電子が過剰になる。
余分な電子が離脱しても正孔(ホール)は残らないから当然だ。



電流の担い手をキャリアという。
半導体中には、負電荷を担う自由電子と正電荷を担う正孔(ホール)の二つのキャリアがある。



真性半導体では自由電子と正孔(ホール)がキャリアだ。
しかし、ドナーを混入した半導体では自由電子が過剰になる。



過剰なキャリア多数キャリアという。
多数キャリアが自由電子である半導体がn型半導体だ。



ドナーを含む半導体がn型半導体だ。

余談

ドナー(donor)とはもともと「寄贈者」を意味する単語である。
移植手術では臓器提供者をドナーという。

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2005/06/01
2010/03/07



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