不純物半導体
不純物半導体とは
不純物が混入いた質の悪い半導体というイメージを持つかもしれない。
そうではない。
半導体の性能をアップするために、不純物を意図的に混入させるのだ。
不純物半導体とは
純粋な半導体では、共有結合に使われている電子が抜けると、その跡がホールになる。
このため、半導体の内部では自由電子とホールが同数あるはずだ。
このような純粋な半導体に対し、ヒ素を混ぜるとホールと自由電子の数のバランスを崩し自由電子を増やすことができる。
反対にガリウムが入ると、ホールが増加する。
このように純粋な半導体に、ヒ素やガリウムのような余分な物質を混ぜた半導体を不純物半導体という。
純粋な半導体に対し、ヒ素やガリウムは不純物だからである。
純物半導体は、ホールと自由電子のどちらか一方が他方よりも多い半導体なのだ。
自由電子が過剰な不純物半導体をn型半導体という。
反対にホールが多ければp型半導体だ。
なぜ、自由電子やホールが増えるのか?
なぜ、不純物を混入すると一方のキャリア(ホールと自由電子)のみを増やせるのだろうか?
その答えは価電子にある。
価電子とは、その原子の中で最も外側にある電子のことである。
物体が形を保っているのは、原子が相互につながりあっているからだ。
原子と原子をつなぐ連結器の役割を果たすのが、価電子である。
シリコンは4つの価電子を持つ。
二つのシリコンは価電子を相互に共有することでつながりあう。
価電子がペアになって連結するのだ。
1個のシリコンは、周囲にある4つのシリコンと同時に結合ができる。
多くのシリコンが、それぞれ周囲にある4つのシリコンと結合したものが結晶だ。
もし、シリコンの結晶中に、ヒ素が入り込んだらどうなるだろう。
ヒ素は5個の価電子を持つ。
このうち、4つの価電子で周囲のシリコンと結合するため価電子が一個あまるのだ。
余った価電子がヒ素原子を離れ自由電子になったとしても跡にホールを残さない。
このため、不純物としてヒ素を混入した半導体は自由電子が多くなるのである。
不純物半導体の特性
混入される不純物には2種類ある。ドナーとアクセプタだ。
ドナーを混入した半導体をn型半導体、アクセプタを混入したものをp型半導体という。
真性半導体のキャリアは、自由電子と正孔(ホール)が同数ずつ存在する。
ドナーは電子を余計に持つので、真性半導体にドナーが混入すると、その不純物半導体は電子が過剰になる。
逆にアクセプタは電子が足りないので、アクセプタが混入した不純物半導体は正孔(ホール)が過剰になる。
不純物半導体の種類 | 混入される不純物 | 多数キャリア |
n型半導体 | ドナー | 自由電子 |
p型半導体 | アクセプタ | 正孔(ホール) |
不純物を混入していない半導体を、不純物半導体と対比して「真性半導体」ということもある。
n型半導体、p型半導体がそれぞれ単独で利用されるケースはほとんどない。
半導体素子の大多数はn型半導体とp型半導体を隣接させた「pn接合」を使用している。
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2005/06/01
2010/02/05
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