p型半導体

HOME＞物理学用語辞典＞半導体物理用語集＞p型半導体

p型半導体とは

アクセプタとp型半導体

導体中では自由電子が一方向に移動することで電流が流れる。
電流の担い手をキャリアという。
導体のキャリアは自由電子なのだ。

半導体中では、共有結合から離れた電子が自由電子となり、電子が抜け出た跡が正孔(ホール)となる。
自由電子と正孔(ホール)の移動によって電流が流れるため、半導体中のキャリアは自由電子と正孔(ホール)ということになる。

真性半導体では自由電子と正孔(ホール)は同数だ。
共有結合から電子が離れると、自由電子と正孔(ホール)がペアで誕生するからだ。

3価の元素であるB(ホウ素)を少量、真性半導体に混入すると、周囲のSi(シリコン)と共有結合するが、その中の一つが不完全になる。
最外殻の電子が３個しかないためだ。

このため、共有結合ができなかった部分が正孔(ホール)になる。
この正孔(ホール)は電子が抜けた跡ではない。
B(ホウ素)が多めに半導体中にあると、自由電子よりも正孔(ホール)が多くなる。

このような半導体がp型半導体だ。

また、B(ホウ素)のように正孔(ホール)を提供する元素をアクセプタという。
なお、ｐ型半導体が正に帯電していると勘違いしてはいけない。

アクセプタは元々中性の元素だ。
電子と原子核の陽子の数は同じだ。

n型半導体の特色

真性半導体にⅢ族やⅤ族の元素を混入すると、半導体の電気的特性が顕著に変化する。

このような半導体を、不純物半導体という。
不純物半導体には以下の二種類がある。

種類	混入する不純物	多数キャリア
n型半導体	Ⅴ族元素(ドナー)	自由電子
ｐ型半導体	Ⅲ族元素(アクセプタ)	正孔(ホール)

共有結合に寄与する電子が不足しているため、半導体中にあって、自由電子を確保しやすい不純物元素をアクセプタという。

アクセプタが自由電子を確保すると、その電子は共有結合に参加するためアクセプタに拘束される。
つまり自由電子の数が減るのだ。
しかし、その自由電子とペアで生成された正孔(ホール)は残る。

従って、アクセプタが混入された半導体中では、自由電子に比較してホールが過剰になる。
過剰なキャリアを多数キャリアという。

p型半導体とは、多数キャリアが正孔(ホール)である半導体のことである。

p型半導体が単独で利用されるケースは少ない。
多くは、n型半導体とｐ型半導体を組み合わせることで得られるpn接合を利用する。

このページのTOPへ

2005/06/01