物理学解体新書

運動の状態

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加速度

運動の状態:加速度とは

電車が走り出すと、だんだんとスピードが上がっていく。
電車の時速は、10キロメートル、30キロメートル・・・・・・のように上がっていくが、どこまでも際限なく速くならない。
時速70キロメートル、80キロメートルで一定速度での運転になる。

走り出しから速度が一定になるまでの間を加速という。
一方で一定速度で運転しているときは、加速とは言わない。
速度が変化しているときが加速なのだ。

走り出しから10秒後に時速60キロメートルに達する運転と、1分後に時速60キロメートルに達する運転を比べてみよう。
10秒後に時速60キロメートルに達する運転のほうが、大きく速度が変化していると言える。
速度の変化の度合いが大きいのだ。

このような速度の変化の度合いを加速度という。



加速度と速度の違い

物体が運動していく様子を時間、位置速度加速度で表現したものが運動の状態だ。

その中で、「物体が移動した距離(位置の違い)」を「移動に要した時間」で割った量が速度だ。
そして、速度が変化していく度合いが加速度である。

以下のように考えてもいい。

速度物体が移動していく度合い
(位置の変化の度合い)
加速度速度が変化していく度合い
(速度の変化の度合い)

速度が刻々と変化する場合、単位時間あたり(1秒あたりと考えるのが標準)にどれだけ速度が変化するのかといった量が加速度だ。
速度(単位は[m/s])を時間(単位は[s])で割るのだから加速度の単位は[m/s2]である。

例えば、ある物体が30[m/s]で移動している。
この物体の速度は1秒後に35[m/s]、さらに1秒後に40[m/s]、さらにもう1秒後に45[m/s]になった。

1秒あたりに5[m/s]づつ速度が変化しているので、この物体の加速度は5[m/s2]である。
スピードが遅くなる場合は、加速度はマイナスである。

速度と加速度が混乱している人が時々いる。速度と加速度の違いを書いておこう。

定義単位
速度単位時間あたりの位置の差m/s
加速度単位時間あたりの速度の差m/s2


後述するが、力は加速度に影響するが、速度と力は無関係だ。
両者を厳密に区別しないと力に関する問題が解けなくなる

ニュートンやガリレオ以前の人々は速度と加速度の区別がなく、両者を混同していたようだ。
ニュートンは速度と加速度の違いを明確に切り分けたことで、力学の根底を築いたのだ。

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