物理学解体新書

有機EL技術入門[2]

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発光の原理

高分子と低分子のどちらでも、基本原理は同等である。


カソード(陰極)とアノード(陽極)の電極間に電圧がかかると、電子とホール(正孔)が注入される。
電子は電子輸送層を、ホール(正孔)は正孔輸送層を通過し、それぞれが発光層に到達する。


発光層で出会った電子とホール(正孔)は再結合する。
このときのエネルギーにより、発光層の分子が励起される。
励起状態は極めて不安定なため、すぐに基底状態に戻る。
このときのエネルギーの差が光となって放出される。


陽極の材料はITO(Indium-Tin-Oxide:インジウム−スズ酸化物)を使用している。
ITOは透明なので、光が遮られることなく、放射される。


このようなサンドイッチ状の層構造をヘテロ構造という。


電子と正孔をそれぞれ別の層に閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。
正孔輸送層、発光層にはそれぞれジアミン、アントラセンなどの有機物が使われる。


励起状態には二種類ある。
一重項励起状態と三重項励起状態がそれだ。
一重項励起状態から基底状態に戻るときに放出される光は蛍光だが、三重項励起状態からでは燐光である。
燐光を放射する有機物質は少ない。


電子とホール(正孔)が再結合で生成される励起状態は、一重項励起状態が25%、三重項励起状態が75%である。
燐光を放射しない物質を利用すると、発光の能率は25%しかないことになる。


燐光を放射する有機物質を見つけ出し、利用すれば発光効率が高まることになる。
三重項励起状態の物質としてイリジウム、プラチナの金属錯体がある。
コダックのTang氏が開発したケースでは、アルミの錯体を利用していた。
アルミの錯体は効率悪いため、今日では積極的に利用されていない。
希土類を使用した五重項励起状態もある。

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2006/02/11



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