有機EL技術入門[3]
有機ELの材料
有機ELデバイスは、ガラス基板(またはプラスチック基板)に、有機材料が積層した構造である。
有機材料は、高分子系(polymers)と低分子系(molecules)に分類される。
どちらも、陽極に正、陰極に負の電圧を印加すると電流が注入しEL発光が生じる。
イーストマンコダック社のTang氏の開発は、低分子系であった。
高分子系(polymers)、低分子系(molecules)ともに、層構造を持っている。
低分子系(molecules)を使用した有機ELデバイスは5層程度であるが、高分子系(polymers)では2層が一般的である。
低分子系(molecules)は以下の各層から構成される。
ホール(正孔)注入層 | 電極からホール(正孔)を取り入れる。 |
ホール(正孔)輸送層 | ホール(正孔)を能率的に輸送するが、反対方向から来る電子を通行止めにする。 |
発光層 | ホール(正孔)と電子が結合し、発光する。 |
電子輸送層 | 電子を能率的に輸送するが、反対方向から来るホール(正孔)を通行止めにする。 |
電子注入層 | 電極から電子を取り入れる。 |
各層は真空蒸着によって生成される。
正孔輸送層の材料は芳香族アミン、電子輸送層の材料はシロール誘導体が利用される。
発光層は、正孔輸送層、または電子輸送層と同一の材料(ホスト)に、発色に応じた材料(ゲスト)を数%加える。
高分子系(polymers)ではMEH-PPV(ポリパラフェニレン誘導体)やPFO(ポリフルオレン誘導体)が利用される。
従来は蛍光材料が主流であったが、燐光材料の開発が盛んになってきた。
燐光材料の方が、発光効率が高いからだ。
発光効率が向上すると、消費電力が低減する。
有機発光体は酸素や水分に弱いことも忘れてはならない。
■次のページ:生成法
スポンサーリンク
2006/02/11