物理学解体新書

質量と重量の違い

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単位から見た「質量」と「重量」

質量は物体がもともと持っている量だ。
質量は、新たに生まれてくることもなければ、消滅することもない。
(厳密には、質量はエネルギーに変換されることが、相対性理論によって証明されているが、ここでは非日常的なので無視する)
物質が持っているもともとの量だから、その物体がどこにあっても質量は不変なのだ。


温度や圧力の高低、空気中/真空中/水中の違いによらず、どこにあっても質量はガンとして一定なのだ。
もちろん、引力の作用する・しないにかかわらず、質量は一定である。


質量と質量の間には引力が働く。
特に、地球(または他の天体)と物体との間に生じる引力を重力という。
重力の大きさを重量という。


物体に力を加えると加速する。
これが運動の第2法則だ。
乗り物が加速しているとき、乗っている人は力を感じる。
この例からも力と加速度が比例していることが理解できる。


運動の第2法則では、力は質量と加速度の積で表現される。
重力も力であることに違いはない。
だから、他の力と同様に重力も質量と加速度の積で表現される。


落下する物体には重力が作用する。
加速度と力は比例するので、落下する物体の速度は、どんどん速くなる。
落ちていく物体の加速度を重力加速度という。

重量は、質量に重力加速度gを掛け合わせた量
なのだ。


物体が落下するときの加速度がgである。
以下に質量と重量の単位を併記する。
単位や意味の違いを十分に理解していただきたい。

質量重量
kgkg・m/s2
もともとの量なので、どこにあっても一定
→物質にもともと備わっている量である。
質量に重力加速度をかけたもの。
つまり地球が物体を引っ張る力の大きさ。
→物質にもともと備わっている量ではない。


質量の単位は[g]であるが、その1000倍の[kg]を基本とするケースが多い。
SI単位の基本単位が[kg]であるからだ。


質量は理解しにくい概念であると同時に、重量と混乱する人も多い。
繰り返しになるが、再度記しておく。
「質量はどこへ行っても不変であるが、重量は、万有引力で生じる重力である。重力は力なので、質量×重力加速度が、その大きさである」


もう一点、注意事項を申し上げよう。
我々が日常で重量(または重さ)と言っているのは、質量のことだ。
物理学としては質量と表現すべきなのに、日常語の慣習として重量と言っているのだ。


例えば、「重量は○○kgです」といった場合を考えてみよう。
質量の単位はkg、重量の単位はkg・m/s2であることは説明した。


ということは「重量は○○kgです」という表現は矛盾を含んでいる。
物理の観点では「質量は○○kgです」とすべきところを、言語の習慣として「重量は○○kgです」と表現していたのだ。
このことも質量と重量を混同する要因の一つになっている。

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2005/05/21



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