物理学解体新書

運動の3法則

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運動方程式(第2法則)

力と運動の関係をまとめた法則が運動の3法則だ。
下表の3つの法則から成り立っている。

慣性の法則
(第1法則)
物体は力が加わらないかぎり、そのままの状態を続ける
運動方程式
(第2法則)
物体に力が加わると、質量に比例した加速度を生じる
作用反作用の法則
(第3法則)
物体に力が加わると、物体は同じ大きさの力で押し返す。


第2法則:運動方程式とは

ここでは、運動の法則の第2法則、運動方程式について解説しよう。

物体には、力が加わらないかぎり、そのままの状態を続ける性質がある。(慣性の法則)
ということは「力を加えると運動の状態が変化する」ということだ。

滑らかな床の上をボールがコロコロと転がっている。
力が加わっていないので(微細な摩擦力は無視できるので)、このボールはいつまでも同じ速度で転がり続けていくだろう。
このような運動が等速直線運動だ。

このボールを指で押さえて止めたとしよう。
等速直線運動していた物体(ボール)が、指の力で止まったのだ。
つまり、力を加えたことによって運動の状態が変化したのだ。

転がるボールに軽く触れて減速させたり、転がる方向を変えることも可能だ。
この場合も、力を加えたことによって運動の状態が変化したことになる。

動いていたボールが停止した、減速した、カーブしたということは、速度が変化したことを示している。
速度の変化は、加速度だ。
運動の状態が変化するとは、加速度が生じることなのである。



力が働くと、加速度が生じて運動が変化する

どのような力を加えると、どのような加速度が生じるかにはルールがある。
このルールが運動方程式なのである。

物体には「力が加わると、質量に比例した加速度を生じる」という性質がある。
運動方程式は、この関係を数式としてまとめたものなのだ。

運動方程式は以下のように記述される。
F = ma


運動方程式(第2法則)の解釈

運動方程式から次の事項が読み取れる
[A]同じ力を加えた場合、質量が大きいほど加速度が小さい(動きにくい)
[B]同じ加速度を得るためには、大きい質量ほど、より大きな力を加える必要がある。
[C]力と質量と加速度の関係は、物体の速度には無関係である。
[D]加えられた力の方向に加速度が生じる。

これらについて順次検討していこう。

[A]同じ力を加えた場合、質量が大きいほど加速度が小さい(動きにくい)
これは、日常生活での実感と一致することでもある。
ただし、日常で実感するのは質量ではなく重量である。

[B]同じ加速度を得るためには、質量が大きいほど大きな力を加える必要がある。
このように質量は動きにくさの尺度でもある。
運動方程式で規定される質量を特に慣性質量といい、万有引力の法則で規定される重力質量と区分される。(詳細は重力質量と慣性質量。)
ただし、慣性質量と重力質量の値は一致すると考えられている。

[C]力と質量の関係は、物体の速度には無関係である。
これは重要だ。力と質量の関係は加速度に関連するのであって、速度には無関係である。
速度と加速度の違いを明確に理解していないと、運動方程式を正しく扱うことはできない。
速度と加速度を混同している場合は、加速度を再読して欲しい。

静止している質量mに力Fが作用する場合と、一定の速度vで運動する質量mに力Fが作用する場合、生じる加速度aはどちらもF/mだ。
つまり速度vには影響されないのである。

[D]加えられた力の方向に加速度が生じる。
直線の道路で自動車が加速する場合、加速度速度の方向は一致している。
このように加速度速度の方向が一致しているケースは理解しやすいが、多くの現象において、加速度速度の方向が一致するとは限らない。一方、力と加速度の方向はどんな運動でも必ず一致している。

例えば後述する円運動が、速度と加速度が一致しない例である。

次のページで、第3法則を解説する。

■次のページ:第3法則(作用反作用の法則)

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