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コンデンサー技術入門[2]

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コンデンサの性能

コンデンサの性能の指標で得に重要なものが、静電容量だ。
与えた電圧あたりにどれだけの電荷が蓄積されるかを示す量である。
ただし、蓄積できる最大の電荷量を示しているのではないことに注意しよう。
静電容量は単位電圧あたりの、電荷量なのだ。


静電容量の単位は[F](ファラッド)である。
これは蓄積された電荷量Q[C] (クーロン)を与えた電圧E[V] (ボルト)で割った単位だ。
1[V]の電圧で、1[C]の電荷を蓄積できる能力が1[F]となる。


例えば、コンデンサに100[V]を与えた結果、10-4[C]の電荷が蓄積されたとする。
この場合の静電容量は10-6[F]ということになる。


現実の電気回路で使用されているコンデンサの静電容量は、10-6[F]や10-12[F]程度の小さなオーダーだ。
だから、[F]をそのまま使用するのでは、大きすぎて不便である。
そこで、市販されているコンデンサは[μF]や[pF]の単位で静電容量を表示するのが標準となっている。
[μF]は10-6[F]、[pF]は10-12[F]を示す。
ただし、近年ではノートパソコンやハイブリッド自動車用の充電電源として1[F]を超えるコンデンサも市場に出てきている。


静電容量の精度を高めることは難しい。
普及しているコンデンサの多くが、10〜20%程度の精度である。


コンデンサに与えられる最大の電圧を定格電圧という。WV(Work Voltage)と表現する場合もある。
電圧なので単位は[V] (ボルト)だ。
定格電圧と静電容量の積が、そのコンデンサに蓄積可能な最大の電荷量というわけだ。


コンデンサを定格電圧ぎりぎりで、使用するのは危険である。
例えば、交流100Vといった場合、この100Vは実効値を示している。
最大値は141Vに達するので、コンデンサの定格電圧が100Vであったら、オーバーしてしまう。
安全の観点から、実際に使用する最大電圧の3倍程度の定格電圧を選定するのが一般的である。


どんなコンデンサであっても、電流の漏洩や電力の損失が生じる。
誘電体が持つわずかな導電性、リード線の抵抗やインダクタンスがその原因だ。
電力の損失を得に誘電体損という。


コンデンサに交流電圧を与えた場合、理想的な条件では電圧と電流は90度の位相差を示す。
しかし、現実のコンデンサは誘電体損を持つため、位相差は90度ピタリにはならない。電流が微少角δだけずれるのだ。
この微少角δの正接(tanδ)は誘電正接と呼ばれ、誘電体損の程度を示す指標となっている。


インダクタンスの代表例はコイルである。
コイルに加える交流電圧の周波数が高くなるほど、導線を横切る磁力線が多くなり、逆起電力が大きくなる。
つまり、電流が流れにくくなるのだ。
このような抵抗をインダクタンスという。


コンデンサの電極部やリード線が持つインダクタンスは、コイルに比べて無視できるほど小さい。
ところが、周波数が10MHzを超えると、このインダクタンスが目立ってくる。
さらに周波数が高くなると、インダクタンスとキャパシタンスが逆転してしまう。
見かけはコンデンサであっても、高い周波数領域ではコイルとして振舞ってしますのだ。
このような周波数特性もコンデンサの性能を見る重要な指標である。

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2006/01/27



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