コンデンサー技術入門[3]
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コンデンサの種類
コンデンサの性能は、挟まれた誘電体の物理的な性質によって大きく変わる。
つまり、コンデンサの用途に応じて、それに相応しい誘電体が選択されるのだ。
コンデンサの名称は、誘電体の種類によって命名されている。
ここでは、代表的なもののみ解説するが、他にもいくつかの種類がある。
プラスチックフィルムコンデンサ
プラスチックフィルムとアルミ箔を交互に重ねて、円筒状に巻いたコンデンサが、プラスチックフィルムコンデンサである。
薄い誘電体を長く巻くので、大きな表面積によって静電容量を増やそうという発想だ。
プラスチックフィルムの代わりに紙を用いた紙コンデンサ等もある。
セラミックコンデンサ
セラミックとは、金属酸化物を高温で焼き固めたものをいう。
瀬戸物などがその一例だ。
半導体や無機化合物の成形体もセラミックに含める場合が多い。
このセラミックを誘電体として利用したコンデンサがセラミックコンデンサだ。
セラミックは比誘電率が大きいので、サイズが小さいまま静電容量を大きくすることができる。
チタン酸バリウムとチタン系磁器コンデンサの2系統に分類される。
デジタル回路ではパスコン、アナログ回路では温度補償として利用されるケースが多い。
セラミックコンデンサは小型のため、表面に定格電圧や静電容量を記載することができない。
そのため3桁の特殊な書き方で静電容量を示す場合が多い。
ABCと記載されていたらAB×10C[pF]を示している。
2桁、1桁で表記されている場合は、そのまま[pF]を単位としている。
アルミ電解コンデンサ
極板のアルミ箔の表面に作った非常に薄い酸化皮膜を誘電体としたものが、アルミ電解コンデンサだ。
極板の表面を化学的な処理で粗くして表面積を大きくする。
誘電体が薄い上、表面積が広いため静電容量は大きくなる。
大容量が得られる一方で、周波数特性はよくない。
アルミ電解コンデンサには極性がある。そのためプラスマイナスを誤らないように使用しなくてはならない。
もちろん、交流では使用できない。
一般には、マイナス側のリード線が短いので、リード線の長さで極性を識別する。
マイナス側の本体に矢印が描かれている場合もある。
極性を誤ったり、耐電圧以上の電圧が加わると暴発する。
暴発そのものが危険であるが、同時に撒き散らされる電解液は有害である。
暴発事故は絶対に防止しなくてはならない。
一般の家庭やオフィスには交流電圧が供給されている。
各種の電気製品は電源コードをコンセントに差し込んで電力を得る。
ヘアドライヤーなど一部の製品は、コンセントから得られた交流電流をそのまま使用するが、ほとんどの電気製品は、内蔵された電源装置で交流電流から直流電流を生成して使用する。
電源装置では、山谷にある交流をフラットな直流に変換するために、大容量のコンデンサを利用する。
この目的で使用されるコンデンサを平滑化コンデンサという。
アルミ電解コンデンサは、平滑化コンデンサとして広く利用されている。
バリアブルコンデンサ
静電容量を変更できるコンデンサをバリアブルコンデンサという。
バリコンと略す場合が多い。
誘電体には空気やポリエチレンが利用される。
極板の対向面積を変化させ、静電容量を変化させる。
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2006/01/27