ド・ブロイ波
定常状態
ド・ブロイ波とは
電子や陽子、中性子は、粒子でありながら同時に波でもある。
これら粒子が波として振る舞まう場合をド・ブロイ波という。
ド・ブロイ波は物質波とも呼ばれる。
ラザフォードの実験で原子の構造が明らかになると、電磁気学との矛盾が生じた。
電子は電荷を持っているので、原子核の周囲を回転すれば、電磁波を放ってエネルギーを失い、原子核に墜落してしまうはずだ。
ボーアは電子には限られた軌道しか許されず、エネルギーは連続ではなくとびとびの値しか取れないという仮説(ボーアモデル)を立てた。
電子が限られた軌道にいる状態が定常状態だ。
ボーアモデルは、バルマー系列を的確に説明できたことから、正しさが認められた。
しかし、なぜ定常状態が保たれるのかまでは、不明のままだった。
ボーアモデルの発表から、10年後、ド・ブロイが定常状態の謎を解明した。
ド・ブロイは電子は粒子であるが、同時に波でもあることを見抜き、定常状態を説明したのである。
これが電子波だ。
かつて、アインシュタインは、光は波であるが、同時に粒子でもあるという光量子仮説を発表し光電効果を説明した。
ド・ブロイは、光が粒子でもあるなら、電子は波でもあると考えたのだ。
電子が波の性質を示すとき、電子波と呼ぶ。
陽子なら陽子波、中性子なら中性子波だ。
これらをまとめてド・ブロイ波または物質波という。
定常状態と電子波
電子はとびとびの値しか持つかとができない。
ド・ブロイは、電子は電子波として、原子核の周囲を取り巻いていると考えた。
このとき、波の端部と端部がピタリ一致していないと、電子は安定しない。
つまり電子は存在できないのだ。
反対に、波の端部と端部がピタリ一致した状態が定常状態なのである。
波の端部と端部がピタリ一致した状態だけが、電子がとりうる状態だ。
だから、電子はとびとびの値しか取れないのである。
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2017/04/26