物理学解体新書

運動の3法則

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作用反作用の法則(第3法則)

力と運動の関係をまとめた法則が運動の3法則だ。
下表の3つの法則から成り立っている。

慣性の法則
(第1法則)
物体は力が加わらないかぎり、そのままの状態を続ける
運動方程式
(第2法則)
物体に力が加わると、質量に比例した加速度を生じる
作用反作用の法則
(第3法則)
物体に力が加わると、物体は同じ大きさの力で押し返す。


第3法則(作用反作用の法則)とは

ここでは、運動の法則の第3法則、作用反作用の法則について解説しよう。

例えば、机の表面を手で押すとしよう。
押す力を強めるほど、手が感じる力は大きくなる。

これは、手が机を押すと、机も同じ大きさの力で手を押し返すからだ。
この場合、手が机を押す力を「作用」、机が手を押し返す力を「反作用」という。
作用と反作用は、大きさは等しく方向が正反対の力のペアなのである。

ここでは、机と手の関係を例示したが、次の例なども作用と反作用のペアの典型例である。

作用と反作用のペアが成立するのは特別な場合ではない。
作用と反作用のペアは力のあるところすべてに成立するのである。
これを作用・反作用の法則という。

つまり、力は単独では存在できない。
常にどんな力でも、作用と反作用がペアとなって存在するのである。
作用だけの力、または反作用だけの力は存在しないのである。

作用・反作用の法則はニュートンの運動法則の第3法則である。



第3法則(作用反作用の法則)の例

押せば同じ力で押され、引けば同じ力で引かれる。
これが作用反作用の法則である。
手が机を押す例では、机は動かないから納得しやすいが、台車をゴロゴロ押す場合などは迷う。
台車を押とき、手は力を感じる。
これは、台車が手を押し返している証拠だ。

このとき「台車を押す力」と「台車が手を押し返す力」は等しい。
ところが台車は押されて動いて行くから「台車を押す力の方が大きい」と誤解しやすい。
「台車を押す力」と「台車が手を押し返す力」は、作用・反作用で常に等大逆向きなのだ。

では、等大逆向きの力でつりあうはずなのに、どうして台車は動くのかという疑問もある。
この疑問は、力のつりあいと混同している。
力のつりあい」と「作用・反作用」は別ものなのだ。

人間は靴底の摩擦を使って歩く。
台車の車輪にも地面との間に摩擦がある。
靴底の摩擦力が、車輪の摩擦より大きいから台車が押されて動くのだ。
そして、台車を押している限り、手と台車の間に等大逆向きの力が生じているのである。

非常に重い台車を力をこめて押そうとしている場合をイメージすると理解しやすい。
この場合、腕に相当な力がかかるが、同時に踏ん張っている靴底にも力を感じるはずである。
この靴底の力と等大逆向きの力が、車輪にも摩擦力として生じている。
台車は、靴底と車輪の摩擦力の差で移動するのである。

また、摩擦が極端に小さい靴底を想像してもいい。(台車の車輪は普通に摩擦する)
台車を押しても、ツルツルと靴底が滑り、台車を前に進ませることができない。
台車を押す力は同じでも、靴底に摩擦がないから進まないのである。

繰り返すが「力のつりあい」と「作用・反作用」を混同してはならない。
[..作用・反作用と力のつりあいの違いはここをクリック..]




作用・反作用の法則の疑問

力は単独では存在できない。常に等大逆向きの力とペアになって存在するのである。
これが作用・反作用の法則である。

この「等大逆向きの力がペア」がクセものであり、理解しにくさ・分かりにくさの原因になっている。
次ページ以降では、作用・反作用の法則に関して次の3つの疑問を解き明かすことにする。


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