核燃料サイクル
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[4]濃縮
ウランにはいくつかの同位体が存在するが、主なものは235Uと238Uだ。
(この他に234Uも含まれるが微少量なので無視する)
つまりウラン鉱石やイエローケーキ中のウランには、質量の異なる2種類のウランが混在しているのである。
このうち核分裂するのが235Uで、ウラン中に約0.7%存在する。
一方の238Uは核分裂を起こさず残りの99.3%を占める。
235Uがたったの0.7%では、まともに連鎖反応が持続しないので、核燃料としては使い物にならない。
そこで235Uの量を増やすという工程が必要になる。
この工程を「濃縮」という。
この濃縮により、235Uの濃度は3〜5%程度となる。
「濃縮」というにしては、随分と少ない印象であるが、3〜5%程度でも十分に核反応するので発電には十分な濃度なのである。
これ以上に濃度を上げることも可能ではあるが、さらにコストもかかるので商用利用としての意味がないのだ。
なお、核爆弾に使用するウランの場合、235Uの濃度がほぼ100%程度になるまで濃縮する。
ここで濃縮の原理について解説しよう。
235Uと238Uの化学的な性質は同一であるので、235Uのみを化学反応によって集めるということはできない。
化学以外の方法で両者を分離する方法は「ガス拡散法」「ガス遠心分離法」「レーザー法」などいくつかの技術が開発されている。
ここでは国内で使用されている「ガス遠心分離法」を説明しよう。
235Uと238Uは化学的な性質は同じでも、質量が違う。
その差はわずか中性子3個分だ。
この質量の差を利用して、遠心分離によって両者をより分けるのだ。
これが遠心分離法だ。
イエローケーキは固体であるため、そのままでは遠心分離に適さない。
そこで前工程の転換を経て気体にしておく必要があるのだ。
なお、濃縮も100%国内でまかなっているのではない。
国内で消費される商用の核燃料のうち、3割程度が国内で濃縮されたものだ。
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2005/05/18
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