物理学解体新書


原子核崩壊(原子核壊変)

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原子核崩壊(原子核壊変)とは

原子は不変であると考えられていた。
しかし、一部の原子は不安定で時間の経過とともに他の原子へと変化することが分かっている。
この現象を原子核崩壊、または原子核壊変という。



原子核は中性子陽子から構成されている。
陽子はプラスの電荷を帯びているので反発しあう。
しかし、複数の陽子が原子核にまとまっていられるのは、反発する力よりも大きな力が作用しているからだ。
これが核力である。



核力は中性子陽子を相互に結びつける力なのである。



核力は非常に強力だ。
だからこそ、陽子間の電気的な反発力に逆らって原子核を一つにまとめあげることができるのだ。
しかし、作用する範囲は非常に狭い。



原子核のサイズが、核力の作用する範囲を超えると、陽子間の電気的な反発力が核力に勝るため、原子核を維持することが難しくなる。



また、陽子数と中性子数の組み合わせが悪くても、核力が有効に作用せず、原子核は非常に不安定である。



このような原子核は「いつ壊れてもおかしくない」といった状態にある。
少しでも安定した状態になりたくて、アルファ線やベータ線を放射する。



これが原子核崩壊(原子核壊変)だ。
崩壊する原子核を「放射性同位元素」または「放射性核種」という。





原子核崩壊(原子核壊変)の種類

アルファ線やベータ線を放出すると陽子の数が変化する。
つまり他の原子になってしまうのだ。



「崩壊」といっても原子核がバラバラに分解し、原子核でなくなってしまうのではない。
他の種類の原子核に変わるだけだ。
原子核崩壊には2つのパターンがあり、これ以外のパターンで崩壊することはない。
これら崩壊はすべて放射線を伴う。

崩壊の種類放射線放射線の実体原子番号質量数
α崩壊α線Heの原子核2つ減る4減る
β崩壊β-崩壊β線β-線電子1つ増える変化しない
β+崩壊β+線陽電子1つ減る変化しない

例えば、ウラン238はアルファ崩壊してトリウム234になる。



大きな原子核のみが原子核崩壊を起こすと思われている場合があるが、そうではない。
たとえば炭素の同位体14Cは放射性同位体である。




原子核崩壊(原子核壊変)のスピード

原子核崩壊は自然に発生する。
しかし、ある放射性原子核を一つもってきて「この原子核は、○時○分に崩壊する」と断言できない。
原子核の崩壊は確率現象なのだ。



一方で同種の原子核が多数あれば、「この原子核の集団のうち、今日の○時○分○秒の時点で約○○○個程度が崩壊する」と予測することは可能である。



つまり、ある特定の原子核が崩壊するタイミングを理論的に予測することはできないが、たくさんあれば予測することができるのだ。
まさに確率現象の特徴といえる。



あるタイミングで崩壊する原子の数量は、そこにある原子の総数に比例する
原子核がたくさんあれば、たくさんの原子核が崩壊するが、原子核げ減れば、崩壊する原子核も少なくなる。



崩壊により減っていくスピードは環境に依存しない。
人為的にコントロールすることもできない。



放射性原子の数量が、崩壊によって半分になるまでに要する時間を半減期という。
半減期は核種ごとに固有の値である。

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2005/06/01
2010/03/22



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