物理学用語辞典
サ行
サージ
電圧や電流が急増する現象。回路の許容を超えれば、ハードウェアやデータが破壊される危険もある。
サーミスタはニッケル、マンガンなどの酸化物を混合し焼結して製造する。
サーミスタは温度が高くなると抵抗値は低下する。
[・・さらに詳しく見る・・]
サイクロトロン
磁場中の荷電粒子を円形の軌道を描くように運動させ、加速する加速器。
サイリスタ
大電力をスイッチングする半導体素子。アノード、カソード、ゲートの3端子を持つ。PNPNの構造で順方向の通電時間を制御する。SCRと表記される。元々サイリスタ(thyristor)はRCA社の製品名だった。
座標
二つの数値の組み合わせで位置を示す仕組み。
机の表面を手で押すとしよう。
押す力を強めるほど、手が感じる力は大きくなる。
これは、手が机を押すと、机も同じ大きさの力で手を押し返すからだ。
この場合、手が机を押す力を「作用」、机が手を押し返す力を「反作用」という。
作用と反作用は、大きさは等しく方向が正反対の力のペアなのである。
作用と反作用のペアは力のあるところすべてに成立するのである。
これを「作用・反作用の法則」、または運動の第3法則という。
[・・さらに詳しく見る・・]
三重点
物質の固体、液体、気体が同時に存在できる平衡状態の温度と圧力。
三端子レギュレータ
電圧を変換する電気部品。ICの一種。入力、出力、グラウンド(コモン)の3端子で構成される。入力電圧は出力電圧よりも高い必要がある。
残留磁化
磁場中で磁化した強磁性体が、磁場を取り去ったあとも持っている磁化。
磁位
磁場中のポテンシャルエネルギー。電場中の電位に対応する。電位の単位はV(ボルト)だが、磁位の単位はA(アンペア)である。
シーケンス
事前に定められた順序に従って、各制御を逐次進めていく一連の流れをシーケンスという。
Sv(シーべルト)は線量当量の単位である。
吸収線量Dを、放射された部位や線質によって補正した量が線量当量なのだ。
線量当量H=吸収線量D×線質係数Q×修正係数Nの関係がある。 [・・さらに詳しく見る・・]
地球の平均密度を計測するための実験。1774年、ネビル・マスケリンによって実施された。
紫外線
紫色の光より波長が短い電磁波。目に見えない。紫外線よりさらに波長が短いとエックス線になる。
磁気コアメモリ
フェライトコアの磁化を利用した記憶素子(記憶装置)。現在ではほとんど使われていない。
磁気光学効果
物質の光学的性質が磁場によって変化する現象。ファラデー効果やカー効果等が含まれる。
磁気単極子
磁石は必ず、N極とS極がペアになっている。
磁石を切断しても切り口が新たな磁極になるため、N極とS極は常にペアとして存在するのだ。
一方で、N極だけ、またはS極だけの仮想的な磁石を磁気単極子、またはモノポールという。
量子力学では、モノポールの存在が予測されているが、現在までのところ、まだ発見されていない。
磁気抵抗メモリ
不揮発性メモリの一種。GMR効果(巨大磁気抵抗効果)を利用した素子の磁化を用いて記憶する。MRAMと略す。
磁気バブル
磁性体薄膜のの中で、小さなエリアだけが磁化された場所。
磁気モーメント
磁気の強さを示すベクトル量。磁極の強さと磁極間の距離の積。
水平な板の上に物体が置かれている。
この物体に紐を結び物体を水平に、力Fで引っ張るとしよう。
この力Fにより、物体が距離sだけ移動したとする。
このとき力Fは物体に対して仕事をしたといい、その量はW=F・sと定義する。
この場合、
・力Fは物体に仕事をした
・物体は力Fによって仕事をされたのだ。
今度は物体を斜めに引っ張ってみよう。力Fが斜めに作用したケースだ。
この場合は、力Fのs方向の成分のみを考えればいい。
具体的な定義はW=F・s cosθとなる。
なお、仕事をする可能性をエネルギーという。
[・・さらに詳しく見る・・]
仕事関数
金属や半導体の内部から電子を取出すために必要なエネルギー。
どのように工夫しても仕事の大きさは変らない。
これを仕事の原理という。
仕事の総量は変化しないから、仕事を使ってそれ以上に大きな仕事を作りだすことができないということだ。
これはテコの原理にも通じる。
できるだけ力を要しないためには、極力長い柄のテコが必要である。
ここで注意しなくてはならないのは、柄の長いテコを使用して得するのは「力」であって、「仕事」ではないということだ。
柄が長くなれば、テコを押し下げる距離は長くなる。
つまり「力で楽しても、より長い距離を移動しなくてはならない」という仕事の原理が作用していることが分かる。
[・・さらに詳しく見る・・]
仕事率
仕事を仕事に要した時間で割った値。時間あたりの仕事。単位はW(ワット)。1秒間に1J(ジュール)の仕事をしたら1Wである。同じ時間内でより大きい仕事ができるほうが能率がいいので、仕事の能率の指標として仕事率が使われる。
磁性
磁場から力を受ける性質
磁性体
磁気を帯びる性質を磁性といい、磁性を持った材質を磁性体という。
磁性体には常時性体、反磁性体、強磁性体があるが、せまい意味では強磁性体のみを磁性体と呼ぶ。
磁束
磁力線を何本か束ねたものを磁束という。m[Wb](ウェーバー)の磁荷からはm本の磁束が放射される。
実効値
交流の電圧値の一種。
質点
現実の物体の運動を考えやすくするために、物体の大きさを無視し質量だけを持つものとモデル化したもの。大きさがないのだから、体積や回転運動はない。
湿度
空気が含む水蒸気の量。
質量
物体が持っている物質の量。無重力の宇宙に行けば物体の重さ(重量)はゼロになるが、物質の量(質量)は変わらない。質量が大きいほど、その物体は動かしにくい。
時定数
回路に電流が流れ始めてから、安定した電流(定常電流)になるまでの時間を表現する値。抵抗値Rと静電容量Cの積。最終的な電流値の63.2%に達するまでの時間を秒で示す。「ときていすう」「ときじょうすう」と読むときもある。
重水
重水素を含む水。重水に対比して普通の水(重水素を含まない水)を軽水という。
集積回路
多数の回路素子と配線を一つにまとめた部品。個々の部品を集めるよりも小型化できる。集積された回路素子の規模でIC、LSI、VLSI、ULSIに分類される。
集中応力
応力が一部で大きくなる現象。切り欠きなどで発生する。
自由電子
原子に束縛されていない電子。電場や磁場の影響を受けると原子核の影響を受けずに動くことができる。
周波数
単位時間に繰り返される回数。1秒あたりの繰り返し回数であれば単位はHz(ヘルツ)
自由落下
重力だけしか外力が作用しない状況での運動。手放した物体が地面に落下する現象は自由落下である。月や人工衛星が地球の周囲を回るのも地表には落下してこないが自由落下である。
地球上の物体はすべて、万有引力の作用により地球の中心へ向かって引かれている。
地球が物体を引く力を重力という。
支えがなければ、物体は重力の影響で落下する。
物体は落下しながら、だんだんとスピードアップする。
落ちるほど、落ちるスピードはどんどん加速していくのだ。
つまり加速するのである。
落下時の加速度は、すべての物質で同一である。
重い軽いに関係なく(質量の大小に関係なく)同じ加速度で落ちるのだ。
重力に従って落下するときの加速度を、重力加速度といい、一般に「g」で表す。
gの値は約9.8[m/s2]である。
[・・さらに詳しく見る・・]
重力子
重力を伝える素粒子。理論的に存在が予測されているが、現在のところ未発見。グラビトンともいう。
重力波
空間の振動が伝わってくる現象。一般相対性理論で存在が予言され、2015年9月に重力波検出器LIGOによって検出された。
ジュール
仕事の単位でJと書く。1[N]の力で1[m]動かすと1[J]である。
ジュール熱
電流が抵抗を流れることによって発生する熱をジュール熱という。1Aの電流が、1Ωの抵抗を1秒間流れたときのジュール熱が1Jに相当する。
ジュールの法則
電流によって発生する熱量は、電流の二乗、抵抗値、時間の積に等しい。
シュタルク効果
原子から放出された単一の線スペクトルが、電場の影響で複数のスペクトル線に分裂する現象。磁場の影響でスペクトル線に分裂する現象はゼーマン効果という。
受動素子
増幅や整流を伴わない電気部品(電子部品)。抵抗器やコンデンサ、トランスが例。
シュレーディンガーの猫
ミクロの重なりあいの状態をマクロに拡張したとき、常識に反する結果となること示す思考実験。
シュレディンガー方程式
量子力学の基本となる方程式。ニュートン力学では物体の運動を運動方程式で表現するが、量子力学では波動関数(位置を存在確率で示す関数)をシュレディンガー方程式で表現する。
常温核融合
通常は高温を必要とする核融合が常温で起こる現象。常温核融合を人工的に実現できればエネルギー源として期待できるが、現時点で実用化の見通しはない。
昇華
物質が固体から直接気体になる現象。
常磁性体
外部から作用する磁場と同じ方向に磁化され、磁場の作用がないと磁性を失う物質。
電離作用で生じた単位質量あたりの電荷量を照射線量という。
照射線量は放射線の源の程度を表しているのではなく、照射された影響を表す単位である。
質量あたりの電荷なので、単位は[C/kg](クーロン毎キログラム)となる。
[・・さらに詳しく見る・・]
触媒
他の物質の化学反応を促進する物質。触媒があることで化学反応のスピードは速くなるが、触媒自体は化学変化を起こさない。
ジョセフソン効果
二つの超伝導体で薄い絶縁膜を挟んだとき、電圧を加えなくても電流が流れる現象。トンネル効果により発生する。
ショットキー効果
負の電位を与えることで金属からの熱電子が放出されやすくなる現象。金属の仕事関数が低減することで発生する。
ショットキー接合
金属と半導体の間でPN接合のように整流作用を持つ接合。PN接合よりも動作が高速である。
磁力線
磁力線は、磁場の様子を表すために仮想された線である。単位面積を通過する磁力線の本数は、その場所の磁場の強さと一致する。
真空ポンプ
真空をつくるために、チャンバー(容器等)から空気(気体)を排出する装置。ターボ分子ポンプ、ダイアフラムポンプ、油回転式ポンプ、油拡散ポンプ等様々な種類がある。
真鍮(しんちゅう)
銅を主成分とした銅と亜鉛の合金。黄銅(おうどう)ともいう。英語でbrass(ブラス)という。管楽器の多くが黄銅でできていることからブラスバンドという。
水素イオン指数
液体の酸性/アルカリ性の度合いを示す数値。水素イオン濃度の逆数の常用対数で示す。酸性では7より小さく、アルカリ性では7より大きくなる。7なら中性。pHと書いてペーハーまたはピーエッチと読む。
水素吸蔵合金
内部に水素を吸収できる合金。合金の固体容積の1000倍以上の水素を吸蔵可能な場合もある。ガスボンベのような容器に貯蔵するよりも、貯蔵時の安全性が高い。水素貯蔵合金ともいう。
水素脆化
水素が鋼材の内部に侵入することで、鋼材の強度が低下する現象。水素脆化が進むと、鋼材の破壊に至る。
ステッパー
半導体素子を製造するための装置の一種。
ステンレス
鉄を主成分とし、10.5%以上のクロムを添加した合金。クロムの影響で表面に薄い酸化皮膜ができるためさびにくい。ステンレスの「ステン」は「汚れる」「さびる」という意味で、これに「レス」が付いている。
ストレンジクォーク
クォークの一種。チャームクォークとともに第二世代のクォークに分類される。
入射角がi 、屈折角rのとき、sin i とsin r の比は常に一定になる。
これをスネルの法則という。
スネルの法則で導かれる量nを屈折率という。
[・・さらに詳しく見る・・]
スピントロニクス
電子のスピンを利用する電子工学(エレクトロニクス)の分野。スピンとエレクトロニクスの合成語。従来のエレクトロニクスは電子の持つ電荷の利用であったが、スピントロニクスでは電荷に加えてスピンも利用する。
スライダック
出力電圧を可変可能なトランス(変圧器)。東芝社の商標。
正イオン
正の電荷を帯びた原子(または原子団)。電子を放出したため負の電荷を失い、結果として正の電荷を帯びている。陽イオンまたはカチオンともいう。
正孔
固体内で電子が抜けた部分。プラスの電荷を帯びた粒子のように振る舞う。ホールとも呼ばれる。
充電されたコンデンサーは、内部にエネルギーを蓄えている。
これを静電エネルギーという。
静電エネルギーは極板間の電場に蓄えられている。
「コンデンサーを充電する」とは「コンデンサーに静電エネルギーを与える」と等しい。
コンデンサーを充電するためには、電荷を運ばなくてはならない。
そのためには、先に極板に溜まった電荷による電界に逆らって、次の電荷を運ぶ必要がある。つまり、仕事が必要だ。
電荷の運搬に要した仕事の総量が、静電エネルギーとなる。
[・・さらに詳しく見る・・]
静電容量とは、導体が電荷を蓄える能力をいい、電位あたりの電荷で示す。「容量」と言っても「これ以上電荷を蓄えたら、導体が壊れてしまいますよ」といった限界を示しているのではない。
電荷Qと電位Vの関係は「Q=CV」の関係がある。
この比例定数Cが静電容量だ。
この式から、以下の意味が読み取れる。
・静電容量Cが同じだったら、蓄えた電荷が大きいと電位も高くなる
・静電容量Cが大きければ、少ない電位でも大きな電荷が蓄えられる
[・・さらに詳しく見る・・]
生物物理学
物理の法則によって生命現象を説明しようとする研究分野。
整流作用
与える電圧の方向によって、電流を通す場合と遮断する場合が切り替わる性質を整流作用という。例えば、PN接合は整流作用を持つ。
整流素子
整流作用(一方向には電流が流れるが反対方向には流れない)を持つ電気部品(電子部品)。
2種類の金属線で円になるようにループを作る。
このループの二つの接点に温度差があると、電圧が生じる。これをゼーベック効果という。
ペルチェ効果と逆の関係にある。
ゼーマン効果
原子から放出された単一の線スペクトルが、磁場の影響で複数のスペクトル線に分裂する現象。電場の影響でスペクトル線に分裂する現象はシュタルク効果という。
石英ガラス
二酸化珪素でできたガラス。結晶構造を持たない。透光性、耐熱性に優れる。
赤外線
赤色の光より波長が長い電磁波。目に見えない。近距離のデータ通信に利用される。用赤外線よりらに波長が長いとマイクロ波になる。
斥力
物体間で相互に遠ざけようとする働く力。引力の逆の作用を持つ力。
絶縁
絶縁体を利用して、高い電圧を与えても電気を通しにくくした状態を絶縁という。
絶縁体
電気を通さない(通しにくい)物質の総称。内部に自由電子がないため電気が通過することができない。物質は、電気の通しやすさに応じて導体、半導体、絶縁体に分類される。
絶縁耐力
絶縁状態が破壊される(絶縁を維持できなくなる)限界の電圧や電界強度。
絶縁破壊
絶縁体が高電圧に耐えられず、導電してしまう現象。落雷は絶縁破壊の一例。空気は絶縁体であるが大気の電位差に耐えられない場合に発生する。
絶対温度
絶対零度(マイナス273.15℃)を基準にした温度。単位はケルビン。ケルビン温度ともいう。
絶対空間
すべての運動の基準となる静止空間。ニュートンが力学の理論を構築する際に導入した。相対性理論によって絶対空間の存在は否定された。
原子はすべて振動している。
振動の度合いが大きいほど、マクロの視点で捉えたとき温度が高いのだ。
温度を低下させると、原子の振動はそれに応じて小さくなる。
つまり温度が低くなる。
原子の振動が完全に停止する温度がマイナス273℃(絶対零度)である。
振動が完全にストップしているのでこれよりも温度を低下させようがないのだ。
[・・さらに詳しく見る・・]
接地
回路や装置の電位を安定させるために、導線を使用して地面と電気的に接続することを接地という。アース、グランドともいう。A種、B種、C種、D種の接地方法がある。
セラミックス
焼成して作る無機物の総称。陶磁器や碍子など。
線スペクトル
原子が放射する光をスペクトル分析したときに現れる線状の光。原子固有の波長で強く現れる。
放射線防護の観点で、被爆量を評価する単位が線量当量という。
人体に吸収された量が同じであっても、吸収した部位や放射線の種類によって人体への影響は異なる。
吸収線量を、放射された部位や線質によって補正した量が線量当量なのだ。
線量当量の単位はSv(シーべルト)である。
[・・さらに詳しく見る・・]
双極子モーメント
双極子(正負の電荷のペア)の強さを示すベクトル量。双極子モーメントの大きさは、正電荷の大きさと正負両極の電荷間の距離との積、方向は負から正の向き。
ゾーンメルト法
金属の純度を高める工業的手法。棒状の金属の端部を加熱によって溶融させる。加熱する部分を他方へむけて移動させていくと金属内の不純物は溶融された部分とともに端部への集中する。この操作を反復することで金属の純度を高めていく。
素数
1とその数でしか割れない自然数。2は最小の素数 。素数は無限に存在する。
塑性変形
荷重を取り去っても、材料が元の形状に戻らない変形。弾性限度を超えて発生する。
素粒子
物質を構成する最小単位。物質をこれより小さくできない単位。電子は素粒子であるが、陽子や中性子はクォークから構成されるので素粒子ではない。
ソレノイド
コイルに流した電流で内部に磁場をつくり、アーマチュアを吸引して機械動作させる電気部品
スポンサーリンク
since 2005/05/21
スポンサーリンク
Amazon.co.jpアソシエイト
スポンサーリンク
Amazon.co.jpアソシエイト