回転運動と並進運動の対比
回転運動
回転運動と並進運動の対比
剛体の力学では、軸の周囲の回転運動を扱う。
物体を回転させようとする能力として「力のモーメントN」を解説した。
「力のモーメントN」は並進運動での「力」に相当する。
剛体の力学では、力のモーメント以外にも固有の物理量が登場する。
そして、登場する物理量はみな、並進運動での物理量になぞって考えることができるのだ。
これから登場する回転運動の物理量を、並進運動と対比して、まず先に一覧にしておこう。
並進運動の物理量 | 回転運動の物理量 | ||||
(質点の力学で登場) | (剛体の力学で登場) | ||||
名称 | 記号 | SI単位 | 名称 | 記号 | SI単位 |
力 | F | [N] | 力のモーメント | N | [Nm] |
位置 | x | [m] | 角度 | θ | [rad] |
速度 | v | [m/s] | 角速度 | ω | [rad/s] |
加速度 | a | [m/s2] | 角加速度 | α | [rad/s2] |
質量(慣性質量) | m | [kg] | 慣性モーメント | I | [kg・m2] |
運動量 | P | [kg・m/s] | 角運動量 | L | [kg・m2/s] |
仕事 | Fx | [J] | 仕事 | Nθ | [J] |
仕事率 | P | [W] | 仕事率 | P | [W] |
運動エネルギー | E | [J] | 回転エネルギー | E | [J] |
さらに各物理量を結びつける法則も、並進運動と回転運動で対応するのである。
順次解説するが、どんなものが登場するのかまず示す。
法則・関係式 | 並進運動の場合 | 回転運動の場合 |
慣性の法則 | 物体は力が加わらないかぎり、そのままの状態(静止、直線運動)を続ける | 物体は力のモーメントが加わらないかぎり、そのままの状態(静止、回転運動)を続ける |
運動方程式 | 物体に力が加わると、質量(慣性質量)に比例した加速度を生じる。 F=ma | 物体に力のモーメントが加わると、慣性モーメントに比例した角加速度を生じる。 N=Iα |
運動量の時間変化が力に相当する。 F=dP/dt | 角運動量の時間変化が力のモーメントに相当する。N=dL/dt | |
作用・反作用の法則 | 物体に力が加わると、物体は同じ大きさの力で押し返す。 | 物体に力のモーメントが加わると、物体は同じ大きさの力のモーメントで逆らう。 |
ベクトル量に関連した保存則 | 運動量保存の法則 | 角運動量保存の法則 |
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2005/07/03